2018年05月03日

感想:イケてる水墨画家 池大雅 at京都国立博物館

只今京都国立博物館で開催中の特別展「池大雅」に行ってきました。
綿密に描き込まれていながら、爽やかな風が吹き抜けるような風景を描いた、イケてる水墨画家です。

会場を訪れた国宝少女たちは、丁度いらしていた池大雅先生と記念撮影させて頂きましたが、なんとここで先生が三弦をつま弾いて名物達を讃える詩を披露。イケてるおもてなしに少女たちは大歓喜!

イケてる墨絵師池大雅.jpg

ほんとイケてる池大雅!というのが今回の戯れ絵でございます(´ω`)

国宝擬人化少女→感想:国宝展 at 京都国立博物館〜等伯×永徳・牧谿×梁楷 水墨画オールスター祭りだよ!

さて、池大雅 日本では85年ぶりの回顧展、その感想記事です。
池大雅とはどのような画家だったのでしょうか?
ぶっちゃけ私も、水墨画に関わらなければ知るよしもなかったのですが…。

円山応挙伊藤若冲など、個性派画家がしのぎを削った江戸時代中期の京都画壇。その活況のなかで、与謝蕪村とともに「南画の大成者」と並び称されるのが池大雅(1723〜76)です。その作品は、寡欲で恬淡、きわめて謙虚だったと伝えられる人柄を象徴するかのような、清新で衒いのない明るさに満ちています。
公式サイトより→特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家


今再び注目を集めている円山応挙や伊藤若冲、その同時代に活躍した京都の人気画家だそうです。

当時から有名人だったらしく、展覧会では「京(みやこ)の三畸人(きじん)」の一人と紹介されていましたが…これほめてるの、けなしてるの?(´ω`)
ちなみに三畸人の一人は売茶翁(ばいさおう)でした、ということは…。

伊藤若冲のお話し→Rp:生誕300年記念 伊藤若冲展 at相国寺承天閣美術館

また池大雅は、与謝蕪村とともに、日本の南画文人画)の大成者ということです。

そうそう彼が与謝蕪村とコラボした作品も有名ですね。(むしろこっちを知ってました=川端康成せんせがこれ好き過ぎてはぎゅ〜〜っと財産ぶっこんで!ゲトしたという「十便十宜図」)
※ここから画像はWikimedia CommonsのPublic domainを引用しています

The Chobenzu by Ike Taiga
釣便〜十便図 池大雅
By Ike Taiga(1723 - 1776) 池大雅 (Kawabata Foundation (公益財団法人 川端康成記念会) 記念館) [Public domain], via Wikimedia Commons


しかし待て、与謝蕪村というと俳句の人ぢゃなかった?
改めて調べたら与謝蕪村は「江戸俳諧の巨匠」「俳画の創始者」とありました。

俳画というと、俳句の世界観をさらっと描いた趣のある絵ですかね。
蕪村は俳句を詠み画も描く。池大雅は書も達人で画の名手だったとか。

Ike Lungshan
蘭亭曲水龍山勝会図 池大雅筆
By Ike Taiga (Catalogue) [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons


なんだか両方いろいろできちゃうのは不思議な気がしますが…うーんそもそも芸術事に垣根があるように思うのはなぜなんでしょうね?
文人画の世界では、どうやらそこに隔たりは無いようですよ。

さて真面目にお勉強しているわたしでも未ださっぱり分からない水墨画の世界ですが(´ω`)めちょっく!
普通に暮らしてる、現代っ子はもっと分からないですよねぇ。
キーボードやスマホが主流の今、普段「筆」を使う事が無いし、床の間に掛け軸や華のある生活とか今では少数派のように思いますし。

そういった環境の変化と、中国文化の知識が失われている事が、水墨画が現代と縁遠くなる理由なんでしょうねぇ。
まぁかくいう私の中国のイメージなども、西遊記・三国志・パンダにカンフーにきょんしーですからねぇ(いろいろ間違えてるぞ)

そんな訳で、池大雅の「南画」についても、鑑賞するために少し知識が必要ですね。


■南画(文人画)とは?

江戸時代後期の日本では、上方江戸を中心に豊かな文化が育まれ、絵画も大変盛んになりました。
そんな中、中国絵画の新様式、南宗画(なんしゅうが)に学んだ絵師達が現れ、中国風の山水画を描き「南画」と呼ばれました。
池大雅と与謝蕪村がブレイクさせた「日本南画」は、西洋美術の波が押し寄せる明治初期まで大いに流行したのだそうです。

彼らが学んだ中国の「南宗画」は、「文人」(ぶんじん)という特権階級の知識人が担った絵画=文人画でした。
高い教養と優れた精神が優れた芸術を生む、という考え方、そして詩と書と描かれる画の世界観が調和しているという「詩書画一致」という特長があるそうです。

日本の南画家たちが憧れたのが、どうやらこの「文人」の高潔な世界のようですね。
教養風雅を愛し、権威に抗い、世俗を脱する生き方に憧れ、実践した人々の芸術。
江戸時代に流行した「浮世絵」=「今をエンジョイしようぜまじパリピな世俗肯定」とはまた違った芸術を支持する人々もいたのでしょう。

そうそう、前述の畸人(きじん)=俗塵に染まった世で自由に生きた人の意味でした。褒めてたんだねw

ちなみに、文人画は、非職業として絵を描く事を重んじているようで(プロではない素人の絵描き、ただし教養人に限る)それまでの職業画家を批判する立場をとっていて、巧みに上手く描くことを良しとしないイメージがありますね。
心のままにとらわれることなく、自由に表現するを良しとする価値観は、今もどこかに受け継がれている気がします。

そんな訳で、同じ水墨画でも、室町時代の雪舟パイセンや、安土桃山時代の等伯ニキの水墨画とはまるで違う背景を持っているのですねぇ。

感想:国宝展 at 京都国立博物館〜雪舟にツッコミを入れてみる

池大雅_京都国立博物館.JPG


■池大雅の人となりと生涯

さて、展覧会には池大雅の書画、関連資料や作品など様々、驚くほどありました。
えーと、ぶっちゃけ池大雅の山水画ってどれも同じに見えていたのですが…(´ω`)
よくよく観ると、かなり画風が変化しているというか、むしろ描く度にいろいろ試していたんぢゃないかっていうね…。

幼少より書が達者、神童と呼ばれ、南画の先達に見いだされ、文人画を学ぶ。
妻の玉瀾も画家で、芸術家夫婦らしいほのぼのエピソードも。
京都の現在円山公園辺りに庵を構え、画を描き、詩を詠み、愛妻と音楽を奏でる日々これ好日。

これは現代に例えると、都会の一等地にアトリエを構え、洋風のライフスタイルで暮らす当代一流の文化人、といった感じでしょうか。

そして文人の高雅な生き方に憧れ、中国渡来の画譜(絵の手本)で学び、山水を描くため旅を重ねます。


■旅の画家

今ほど自由に旅する事が困難な時代にも、大雅は日本各地を旅し写生に努めたそうです。
で、その成果ともいう作品が…箕面の滝、清水寺、松島遠景、富士山でさえ…中国風に描かれてて驚きましたww
よっぽど中国の文化に心酔していたんですかねぇ。今の私達の感覚からすると違和感パないですがw

池大雅が中国に渡ったという話は聞かないので、おそらく中国の実景を見る事なく、憧れを膨らませて創作に励んだのではないか、と。
そもそも山水画は、実景を描くのではなく、胸中に描いた世界を描くものだそうで、いわば憧れで描いた妄想世界w

例によってわかりやすく現代に例えてみますと…四畳半アパートで暮らす若者がカップ麺すすりながらシャレオツな洋楽を聴いて、リバプールやアメリカ西海岸はお洒落ピープルで溢れていると妄想するようなものでしょうか。
そして、そっくりそのまんまの音を再現し、英語で歌い、和製なにがしと評判になり、妻は竹内まりやかユーミンか(´ω`)池大雅こそ、元祖渋谷系といえる存在ではないでしょうか(意味不明)


■変化する作風


中華風だった日本の風景画も「日本十二景」ではかーなり和風な味わいになっていたり。
実際に山に登って描いたスケッチや「真景図」は、西洋画の遠近法が取り入れられていたり。
中国様式から徐々に脱して、独自の画風に歩を進めていたことが、順に追って観ていて分かりました。

指頭画という、指に墨を付けて描くパフォーマンス的な画法にもチャレンジしていたり。
京で当時一世を風靡していたであろう「琳派」に倣った作品があったり。
かなり色々試行錯誤していたんだなぁと。

作風が開花するのは40歳代以降。
筆の勢いに任せない、墨点の積み重ね、まるで織物のような地道な描き込み。
それでいてクドくならない、どこかヌケ感がある墨と白のバランス感覚。
そう、画面に爽やかな風が吹き抜け、暖かさにつつまれるようなイケてる水墨画なのです。Yes! Ike-Taiga Yes!

蘭亭曲水図屏風. 秋社図屏風-Orchid Pavilion Gathering; Autumn Landscape MET DP362635
蘭亭曲水図屏風 池大雅筆
Metropolitan Museum of Art [CC0], via Wikimedia Commons


墨絵なのに色を感じる点描すご…って、ホントに色ぬってるやんかーいw
まるで印象派のそれな…そう、19世紀末の印象派は、色の混色をしない点描でにごりのない清らかな画面を手にれたということですが…それに通じるものがやはりありますね。

IIke Taiga Bankett am Lunshan
蘭亭曲水龍山勝会図 池大雅筆
By Ike no Taiga (Cataqlogue) [Public domain], via Wikimedia Commons


ところで、池大雅の生涯を知ると、文人のイメージと違い、恵まれたエリート育ちだったわけではないようで。
幼少の頃に父を亡くし、若くして扇を描いて生計を立てたり、後に名声を得ても清貧な生活をしていたような様子でした。理想の「文人」に憧れ、そうありたいと願っても、実際は絵を売る職業画家だったり…。

どうやら池大雅せんせは、生まれながらのイケてる男ではなく、努力して真のイケてる画家になったに違いありません。私も彼を見習って、超イケてる墨絵師をめざして、がんばるぞいp(´Д`*)q☆

そして今回もまたニコニコ生放送で京都国立博物館より生放送があるそうで、楽しみです。
京都国立博物館 「池大雅 天衣無縫の旅の画家」展を巡ろう


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2018年02月02日

感想:葛飾北斎〜富士を超えてatあべのハルカス美術館

2018年秋、あべのハルカス美術館開催された、
北斎 ―富士を超えて―大英博物館国際共同プロジェクト

もう去年の展覧会の話となってしまいました(多忙でなかなか更新が出来ず)
昨年はちょとした北斎ブームで、書籍やTV番組でもいろいろ取り上げられ勉強になりましたね。
それら少しでも形に残しておく為の個人的な感想記事です。

向学のため、北斎アニキに倣って偉大な大浪を描いてみました。
ちょうど「国宝展」と被っておりましたので、私の国宝ガールズがひきつづき登場。
この絵が描きたくて時間がかかってしまいました(´ω`)

北斎の描いたグレートウェーブ、その瞬間の形を捉えるには5000/1秒の超高速シャッターが必要だそうです。
カメラのない時代にどうやってそんな「神の領域」を見たのか?

あらゆるテーマを扱い、様々なジャンルを描いた北斎。
風俗画・美人画・春画…あまたの大衆絵画を手がけ、肉筆画に移行した晩年はまさに芸術家の域へ。

以前小布施を訪れた時「森羅万象を描いた」などと軽ーい気持ちで書いておりましたが…今回の展示で北斎の後半生を深く掘り下げることができました。
北斎こと画狂老人卍の到達した芸術とは…?

近年クローズアップされている、もうひとりの北斎とも呼ばれる葛飾応為
ある意味、応為作品が目玉だったかもしれません。娘応為の存在から、晩年の北斎が鮮烈に浮かび上がりました。

こんなお話しです。また長くなるかもしれませんが、その前に…

ぐれいとうぇいぶ.jpg

■ぐれいとうえぃぶ 倣北斎偉大波図

わたくしのblog恒例の戯れ絵ですが、今回は最も有名な大浪図に、北斎おなじみの画題を遊ばせてみようと考え始めまして…。
富士…というと、本阿弥光悦の不二山が繋がりまして、彼女を絵のヘソに据え、前回の「国宝展」で生まれたキャラ達を楽しく遊ばせるという図になりました。
感想:国宝展 at 京都国立博物館〜等伯×永徳・牧谿×梁楷 水墨画オールスター祭りだよ!

そうこうしていると、驚くことに画狂老人さまがしれっと…浪に乗って現れまして、遠く船上から愛娘と愛ネコがそれを見守る図で完成となりました。

描いてみて分かったのですが、既に青い浪を描いた時点でもう何でも絡められる、それ程この構図は完成度が高かったです。
この浪図には円運動の相似=現代でいうフラクタルという感覚で描かれているというのが驚きですね。

展覧会にあわせて制作されたNHK「北斎“宇宙”を描く」によりますと、あの大波〜富嶽三十六景 神奈川沖浪裏〜を捉えるには5000/1秒の超高速シャッターが必要だそうです。
人間の目では到底見る事はかないません…北斎エスパー説ktkl!(´ω`)
ではどうやってこの世界を描くことができたのか…。
ヒントは北斎が出版した絵の技法書。全てのものは幾何学(まる・さんかく・しかく)で描くことができる、というもので、そこから「全体と一部分が相似する」という現代のフラクタルに通じる感覚を持っていたことが分かるとか。
それでこの一枚の浮世絵に、極小から無限に拡張していく「浪」の宇宙を描く事ができたのですね。


■展覧会の感想

さて、富士を超えて―@あべのハルカス美術館 当日の思い出ですが、なにげに訪れたらうっかり長蛇の列。平日なのに。
国宝展より激戦区でした…そう、雪舟パイセンより北斎アニキのネームバリューは遙かに高いという現実を思い知らされたのでした。
全てじっくり鑑賞はあきらめ、さくさくと。好きな作品は何度も並んでライドするというテーマパーク鑑賞でした。

良く知っている浮世絵作品も、波・海・滝=ブルーの作家という切り口で見せてくれました。
単なる風景の記録ではない/より大きな真理を悟るものとしての絵画へ。あべのハルカス美術館の解説はいつも見事ですねぇ。
滝や橋に秘められた神秘性・その流れで、その後の肉筆画の世界観、あの独特の怖ろしくて美しい視点が自然に入ってきました。

そして最も人気があったように感じたのが葛飾応為のコーナー。そこを経た後で訪れた、小布施の男波・女波、そして最晩年の「百亀印」作品群の印象ががらっと変わったのが今回のクライマックスでした。


■北斎の浮世絵

話は浮世絵にもどります。個人的に好きな浮世絵師と申しますと、しみじみした叙情の広重、色気が凄い歌麻呂、スペクタクル国芳、萌え系鈴木春信、だったりするのですが。
北斎は有名だけどじつはそれほどでも(´ω`)子どもの頃の永谷園お茶漬けのおまけ(※浮世絵カード)も集めたのは安藤広重ばかりでしたし。

そう、歌川広重は、おそらく日本では北斎より人気は高いんぢゃないかな(個人的見解です)
北斎の浮世絵は…なんというかキャラに感情移入できないというか、萌えないんですよねぇw(ちょー個人的見解です)
広重の風景画は画中の人に入っていけるといいますか。雨風に煽られる旅人の心中を感じたり…。
しんしんと降りしきる雪の中を黙黙と行く・すれ違う人々の白い吐息が感じられ…この情感が広重の魅力ですよね。
北斎の絵はインパクトがあって面白いけど、ラブ要素がない!と申しますか(意味不明)

北斎人気は海外が凄いようで、19世紀末のジャポニスムブーム印象派への影響など、ヨーロッパで高く評価されてきた事が大きいようです。
風俗画・美人画・春画…あらゆるテーマを扱い様々なジャンルを描けた大衆画家というのも当時の西洋では驚きだったとも。
でもやはり、あらゆる影響を受けながら誰も真似できない独創的な芸術に到達した事が、世界でリスペクトされている理由なのかもしれません。

若い頃の北斎は、定番の浮世絵仕事から出発し、本流の狩野派、流行の四条派、淋派に関心を寄せ、和蘭陀を通して西洋画を学んでいたのは有名ですが、漢画(中国絵画)も積極的に取り入れていたようです。

そういえば北斎が俵屋宗理と名乗っていた時期の美人画は、儚げで美しく…北斎が描いたと思えないぐらい美人(´ω`)※宗理美人と評判だったそうです。
美人画では娘にかなわないと謙遜してるけど、これは評判になるのもうなずけます。
※ここから画像はWikimedia CommonsのPublic domainを引用しています

Katsushika Hokusai - TWO BEAUTIES - Google Art Project
Katsushika Hokusai [Public domain], via Wikimedia Commons

成熟期になると、北斎漫画などの絵手本、富嶽三十六景などの錦絵で、斬新な作品を創り上げ評判になりました。
北斎は売れる絵を描くヒットメーカー、大衆が喜ぶ絵を描けるプロ中のプロだったんですね。


■北斎の芸術〜超自然を描く

北斎作品は膨大で、私も不勉強で全てを見たわけではないですが…ほんと何でも描いているし、精密・雄大・滑稽・ユーモラス・エロ…と画題や画風も様々。
そんな中、錦絵時代に既に北斎の神秘志向が現れてきているものがありました。
グレートウェーブに秘められた神の目線や、滝シリーズや橋シリーズなどは、本当きわどいというか、ほとんどビョーキといいますか…。

Katsushika Hokusai 001
Katsushika Hokusai [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

身近な日常を描いていながら、単なる写生ではなく、そういった物理世界を超える理を顕わにする絵、ということらしいです。
ある種の宗教画・曼荼羅のような… だからちょっと怖い印象を持ってしまうのかもしれません。

北斎の号の由来にもなった「北極星信仰」の顕われ、という事なのですが…(その辺りはよくわかりませんでした)

そもそも広重とは世界観が違っていたんですねぇ。
北斎の作品はラブ要素はないけど、深い哲学がある、と。例えるなら、キューブリック映画(意味不明)
同じ日本の風景を描いていても、そこに現れているものは作家それぞれ…絵というのは奥深いなぁ。

そういった自身の描きたいものをより追い求めた自然な成り行きとしてでしょうか。
大衆に売る出版ものから遠ざかり、より自由度の高い肉筆画の制作へシフトしていったようです。

2015年に訪問し、北斎の肉筆画をたっぷり堪能した、信州小布施 北斎館。
信州小布施 北斎館に行ってきました

こちらで初めて、肉筆画の世界に出会ったのですが、いわゆるプリントの浮世絵とは違うもうひとつの北斎。
手描きの繊細な筆遣い・色と墨の濃淡の美しさに目を奪われ、そして独特の渋み、神秘性、あるいは奇想狂気すら感じさせる画風が印象に残ったものでした。


■葛飾応為

今回の展示のクライマックス直前に、最も絵の前に人だかりが出来ていたのは…なんとお栄さんの作品。
この数年、小説やドラマ、映画で主役になりスポットがあたっている、北斎の実の娘。
残された数少ない作品が、西洋画的陰影で美しく描かれている事も人気の理由。
今回はある意味、葛飾応為が目玉でしたね。

Cherry trees at night
By en:Katsushika Oi [Public domain], via Wikimedia Commons

暗闇と灯火…月の光に導かれ何度も巡り会いそうな、ファンタジックな世界観。

女性を描けばファッショナブルな空気が漂い、着物や小物の細部への拘りはさすが女子視点
父と共作とされる花図などもカラフルで過剰な程の華やかさ。

偉大なオヤジ殿とは違う個性を放っている女性らしい感性、あえて今風に「KAWAII」と呼ぼう(´ω`)


そこいくと、北斎ニキはやはり迫力が違うねぇ。今回最もインパクトがあったのが「関羽割臂図

三国志でおなじみの豪傑関羽が、腕の麻酔無し手術を受けながら、片手間に将棋を指す、という画題。
腕からしたたり落ちる血の描写がなんとおどろおどろしい!
そして生々しい人物描写。描き込みの迫力…絵のパワーにおもわず息を呑むほど。
凄惨にして華美壮麗、シリアスながらユーモラス。
さすがだねー凄いねー…え?これ応為作品なんですか??

そう、最初は信じられなかったのですが、お栄さんこんなド迫力の絵を描いていたんです。
控え目に言って…父を超えるパワーを感じますよマジで。

女絵師だから「カワイイ」感性だね☆っで片付けてしまうのは全く早計でしたわ。
応為ネキは、北斎の右腕として父を助けるだけでなく、葛飾一門を引っ張っていく存在だったのかもしれません。

葛飾応為が主役のアニメ 百日紅〜Miss HOKUSAIについてのお話し
月与志のカルチャー夜話 第七十三夜 〜葛飾北斎/百日紅〜Miss HOKUSAI


■男波・女波の秘密

いよいよ展示のクライマックス「上町祭屋台天井絵・怒涛図」へ。
以前に信州小布施 北斎館で拝見したときは、ただただその迫力に呑み込まれ…
「80代半ばの老人が描いたとは思えない程、圧倒的なパワーを秘めた破格の絵…」などと感想を綴っておりましたが…。

今回、改めて(落ち着いて)鑑賞するとですね、まず、
派手でギラギラした印象を作っていたのは、青い浪図を囲っている縁絵だったと気づきました。
浪のブルーを引き立てる金地のフレーム、そこに極彩色の花鳥や神獣、さらにはエンジェルまでが詳細に描き込まれています。
このKawaiiセンス…応為ネキのものでしょうか。

そして、このフレームを外して考えると、本体の怒涛図は、ブルー(ベロ藍など三色の青い顔料を効果的に使い分けているとか)と白い飛沫のみで構成された「渦巻き」という、非常にミニマルな構造
力強く圧倒的なパワーは、思っていたより無駄のないシンプルな力で生み出されていたようです。
そしてそれは、応為や鴻山といった北斎を支える若いパワーと相乗効果を生んでいるのではないでしょうか。

北斎の故郷にある「すみだ北斎美術館」に「須佐之男命厄神退治之図」という北斎が奉納した大絵馬があります。
詳しくは→感想:すみだ北斎美術館

こちらも大画面の大変迫力のある作品で、ほんとに老齢の北斎が描いたのかと驚かされたものですが…葛飾一門の若いパワーとのシナジーだとすれば腑に落ちます。
これまたTVの特集で、この失われた絵馬の再現ドキュメントをみたのですが、非常に奥深いテクニックで描かれていました。
経験豊かな北斎の知恵と、応為ら門人の熟練した技がなしえた大仕事なのかも。


■北斎最晩年の境地

北斎晩年の大仕事が、葛飾一門の総力を上げて創り上げたものだったとしたら、
最晩年の肉筆画が、北斎個人の作品、いわゆるソロワークだったのかもしれませんね。

画狂老人の画号を名乗り、富士や百(百歳まで生きる願掛け?)の落款を捺した作品群がそれですが、さすがに老境というか、枯れているといいますか(´ω`)
画業一筋八十年、さすがにそぎ落とされ、洗練され、丸くなっておられるのも無理はありませんね。

最晩年の「雪中虎図」は、老境から一回りした童心さえ感じます。

数年前の小布施の記事では不覚にも「普通、老境を迎えれば、萎え枯れても来るだろうに…画狂老人におかれましてはなお一層ギラギラしておられる…」などと書いておりましたが、今回認識を改めました。
ギラギラするのは、まだ未熟な若者の特権。
卍ニキにおかれましては十分に熟練していた、それでもなお真正の画工を目指し描き続ける、ただただ高みを目指す生涯だったのでしょう。

葛飾北斎、凄すぎて私にはとても届きそうにありませんが、憧れの絵師です。

すみだで絶筆といわれる「富士越龍」を拝見しているので、
後はもう一度小布施を訪れて、二十一畳敷の天井画と聞く「八方睨み鳳凰図」を拝んでみたいなぁ。


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2017年11月10日

感想:国宝展 at 京都国立博物館〜等伯×永徳・牧谿×梁楷 水墨画オールスター祭りだよ!

ただいま話題の国宝展!ひきつづき第三期に行って参りました。
中世絵画の国民的名品が隣り合わせで鑑賞できるという贅沢さ、オールスターゲーム、はたまた紅白歌合戦か?さすが国の宝たちですねぇ。
今回もさらに力を入れて、やや堅めの内容を、私の独断と偏見に満ちた面白?感想記事にしてお届けしたします。

特別展覧会「国宝」京都国立博物館

前回の感想記事では画聖 雪舟先生をさりげにディスってみたけど
誰からも怒られることなく、炎上拡散することもなく、これではDISる売名行為が成立しないただのイタい記事、という残念な結果に。

感想:国宝展 at 京都国立博物館〜雪舟にツッコミを入れてみる

うーん今回はもっと違う方向で、思い切ってみよう。
ということで、流行にのって、国宝も擬人化よー!えいぃ!

わたしたち、室町ティーサロンのアイドル☆
漢の文化と大和の伝統を!優美とみやびを!美しさとトキメキを!レッツ☆ラ☆まぜまぜ!

天目茶碗.jpg

平成も話題独占!プリティーでキラキラ☆なふたりはプリキラ天目
中国生まれの天目茶碗。瑠璃色に輝く類い希な美貌に天下人たちのロマンティックが止まらない。

花入.jpg

崇高で大人な雰囲気にバブみすら感じる、青磁花入
チャイナいちの愛され玉(ぎょく)肌がラグジュアリーな、室町サロンを彩る華たち。

大井戸楽志野.jpg

淡雪肌が尊い…大和撫子、うのはながき(右)
日本生まれの志野茶碗。一見清楚系ながら「歪み」や「削り」など桃山時代の傾(かぶ)きを秘めた隠れ厨ニ

WABI×SABIの波動を感じる!ふじさん(左)
本阿弥光悦が生んだ伝説の白楽茶碗。一度お目にかかりたいなー(今展覧会は欠席です)

威風堂々!ミス桃山にふさわしい大名物、きざえもん(中)
高麗生まれの大井戸茶碗。レアすぎる!かいらぎ・貫入が醸すハイブランド感。
あれ、丈が短くなった?
〜古織先生にお直ししてもらっちゃった・だってミニがかわいいんだもん・てへぺろ☆(・ω<)

ウーン、ますますイタい記事になっちゃったねぇ(´ω`;)

この国宝級アイドルたちが各部屋に配置されていて、企業ブースのバーチャルナビゲーターのようにお出迎え…
というわけではなく、陶磁と絵画が共に並ぶことで、かつての将軍や風流人の見たであろう景色を再現する、国宝展ならではの試みだそうですよ。


さて、気を取り直して、ここから本題ですw

かつて教科書で見た有名品が目白押し「国宝」展に向かうみちすがらもうwktkが止まらない〜
しかし私のような、バイキングであれこれ欲張って一体何を食べたのかよくわからなくなるタイプは、見たいものを絞りこみ集中するのも一つの方法ですね。
前回を反省して、今日は一目散にもっとも見たい「私のメインフロア」へ直行しました。
※ここから画像はWikimedia CommonsのPublic domainを引用しています

■これが見たかった!観音猿鶴図

Guanyin, Monkeys, and Crane
By Muqi Fachang ([1]) [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

本当にこれが見たかった、観音猿鶴図 (かんのんえんかくず)〜牧谿(もっけい)筆

や、やわらかい…そしてふつくしい…(*´ω`*)
図版などの複製で見るよりずっと奥深い、本当に魂が宿っているかのような描写が素晴らし過ぎます。
特に右幅の子どもを抱くお猿が、かわいい我が子を本当にぎゅっとだきしめているんです。心から愛おしく守っているような気持ちが伝わってくるような…。

中国絵画で「以形写神」という言葉を習いました。
「形を描くを以て、魂(精神や感情)を写す(表現する)というような意味だそうですが、これを見ると本当に説得力あります。

そして左幅は、子を捜して啼く鶴、そう聞くと切ないですね…。
解説によりますと「慈悲深い白衣観音をはさんで、子を探す鶴に子を抱く猿も母性愛に溢れています…」
そうだったのか、私は理解しました。牧谿ワールドの魅力は「少女マンガ」だと!(´ω`)

繊細すぎる描写の鶴に比べて背景の竹がお粗末だと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、これは背景として主役を立てるというよい仕事をしてますよね。
猿の顔がマンガみたいとか、観音の衣紋が筆ペンで描いたみたいとか突っ込み所はありますが、それも含めてとっても魅力的な名作です。

中幅の白衣観音の目線の先が気になりました。フレームアウトした先にいる何かを見ている視線です。
元々屏風か絵巻といった違うレイアウトだったのでしょうか?三幅対は日本で独自に改装されたものが多いと聞きましたので(最初からこの三対の構図でこの視線は不自然だと私は思いましたが…)

ある意味日本人が最も愛した絵画、これぞ眼福!でしたが、観音猿鶴図はなんと京都大徳寺さまで年に一度一般公開されているそうで(ご本尊…少女マンガとか言っちゃ不敬ですね…すいません)また会いに行きたいと思います。

後ほどで紹介する長谷川等伯が強い影響を受けたと言いますが、きっと伊藤若冲も拝見して学んだのではと想像してしまいます。
Rp:生誕300年記念 伊藤若冲展 at相国寺承天閣美術館


■中国絵画の魅力に圧倒される

次に期待が高かったのが中国絵画
極端に少ない筆数で描く「減筆体」で有名な梁楷(りょうかい)は、先ほどの牧谿と並んで日本人が憧れ、後人に深い影響を与えたという画家。和の文化の定番「引き算の美」の源流ですかね?

Liang Kai-Shakyamuni Emerging from the Mountains
By Liang Kai (梁楷) [Public domain], via Wikimedia Commons

出山釈迦図(しゅっさんしゃかず)梁楷(りょうかい)筆

作品はずいぶんリアルにやつれた釈迦の肖像です。仏画などでおなじみの仏陀的な風貌とはほど遠く、むしろ西洋絵画でおなじみゲッセマネのイエスかと思いました。この後居眠りしていたペテロを怒鳴りつけそうな雰囲気ですね。
そう、まるで中世ヨーロッパ絵画の雰囲気すらある写実性。南宋絵画ってすごいなぁ。

しかし背景が手抜きだね…って思いますか?いえいえこの一見デタラメに見える樹枝の描写はすごいテクですよ。
梁楷は凄腕の筆リスト。もし絵画がライブだったら…ここは拍手喝采のPLAYですね!

梁楷は精密な写実と、斬新な水墨を描きわけた天才で、宮廷画家として当時も最高峰だったけど、梁風子(フーテンの梁さん)と呼ばれたヘンジンだったみたいです。他にも画狂人北斎クラスがそこかしこにいるなんて、中国絵画の懐は怖ろしく深い…。


Summer Mountain
By attributed to Hu Zhifu (Yamanashi Prefecture) [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

夏景山水図 伝胡直夫(こちょくふ)筆 ※伝は伝承の意味

「音を画中に閉じ込めた」という事でした。確かに…「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…」と擬音を被せたら分かりやすいかも(仙人はミケランヂェロ立ちでおなしゃす!)こういう大気の表現大好きです。


Emperor Huizong of Song winter
Emperor Huizong of Song [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

冬景山水図 伝徽宗(きそう)筆
画中の人物が見ているだろう猿と鳥がどこかに小さく描かれていて、皆さん捜してました。元祖ウォーリーをさがせ!的な。
緻密さと荒々しさの同居、ハイテクニックな筆遣いはさりげなく、モノトーン主体でありながら絶妙な色が入って、非常にシックな美しい絵画。

描いた徽宗は…なんと北宋の皇帝!書画の才に優れ、北宋最高の芸術家だったとか。調べると、院体画というのですが、もうすっごーい!クオリティでホント痺れました。

Songhuizong4
Emperor Huizong of Song [Public domain], via Wikimedia Commons
参考:「芙蓉錦鶏図」徽宗筆(北京故宮博物院所蔵)※日本の国宝ではありません

さらに詩文、書にも優れあらゆる芸術に精通した「風流天子
しかしながら皇帝としての評価は酷いもので、芸術に入れ込みすぎて国を潰してしまったとか。
足利義政@東山文化の、はるかななめ上を行く凄い人物が大陸に存在したんですねぇ。

いやー中国絵画すげーです。日本美術ファンには申し訳無いけど、例えると、Jリーグに比べてセリエAやリーガエスパニョーラ級のスケールの違いでしょうか。
話それますが、カタルーニャ独立で揺れるスペイン、FCバルセロナどうなるんでしょうねぇ…。


■等伯!永徳!応挙!日本スター絵師の競演

さて次は中世絵画。いよいよ例のぼんやりしたやつに対面します。おそらく今の日本古典絵画のベストテン第一位に輝くのはこの作品、といわれるほどの人気。

Hasegawa Tohaku, Pine Trees - low resolution
By 長谷川等伯 (Hasegawa Tōhaku, 1539 - 1610) (Emuseum) [Public domain], via Wikimedia Commons

「松林図屏風」長谷川等伯

さすがにここは人だかり、しかしなぜか皆、この作品を遠くから眺めておりまして間近に近づけない雰囲気。
近寄って拝見すると、こりゃほうきで描いたな!ってぐらい荒々しい筆跡で驚き。雪舟パイセンに負けない豪腕プレイヤーです。松の根っこなど速記メモレベルの走り描き。下絵説があるのもうなずけます。

ところが、遠くから眺めるとじつにいい。日本人の心の琴線に触れる美しさ、幽玄さ。
これが牧谿から学び、咀嚼吸収して描いた「日本の水墨画」の出発点、時代のアンセム(賛歌)へのリフレクション(反響)、牧谿リスペクトから生まれたアンサーですね。

長谷川等伯の生涯は聞く機会が多いですね。地方出身の町絵師が、時代の寵児となって業界最高峰の狩野派と渡り合ったという、下克上の時代を象徴する伝説の数々。
大徳寺、千利休、豊臣秀吉と交わり、狩野派の傑物 永徳相手に一歩も譲らず、戦国の世を絵筆で生き抜いたタフ☆ガイ
まるで戦のような絵仕事の中、最も頼りにしていた長男を失った悲しみの果てに、たどり着いた静寂の世界が「松林図屏風」という物語も。
その長男の作品が隣に…父子で国宝。


Cherry-tree
Hasegawa Kyūzō [Public domain], via Wikimedia Commons

智積院障壁画の内「桜図」長谷川久蔵

秀吉好みの豪華金ぴかの春の景観。落雁(和菓子)を貼り付けたような八重桜が印象的。幹の緑色が渋い。
貴重な作品ですが色落ちが激しいのが残念。しかし、智積院で再現された壁画が庭園で拝見できるので、当時の姿を想像するのにはいいかも。
こちらの壁画が拝観できる智積院は京都博物館のすぐお隣です。


水色巒光図 伝周文(しゅうぶん)
周文は雪舟パイセンの師匠にして、様々な芸術をこなしたというマルチプレイヤー。室町禅宗界の「水墨の若大将」とも(注:盛ってます)特定できる作品は残っていない伝説の画僧とか。

周茂叔愛蓮図 狩野正信
狩野派初代の清く正しく美しい漢画、見事でした。


Birds and flowers of the four seasons
By Kanō Eitoku (狩野永徳) and his father Kanō Shōei (狩野松栄) ([1]) [Public domain], via Wikimedia Commons

聚光院方丈障壁画のうち花鳥図 狩野 永徳

桃山画壇の覇者!狩野派が生んだ稀代の天才絵師、恠恠奇奇(カイカイキキ)の怪物くん!などと形容された(注:盛ってます)狩野永徳
絵をみればこれまた豪腕な筆さばき。しかもヘビー級チャンピオンですな。
戦国絵師のライバル対決!は豪腕のぶつかり合い。気炎を上げる永徳と静かなる等伯、乱世に雌雄を決す羅王と朱鷺…(ry

そういえば、あれから雪舟パイセンの記事を色々読むのですが「乱暴力」とか「意味不明の勢い」とか皆ひどいw言葉で褒め称えていますね 笑)

そう、間近で見れば荒々しい雑多な印象なのに、遠く離れてみたら非常に整っていてしかも強い印象。これが屏風絵マジックかと。
やっぱり現場で生で観ないと分からない事がありますね。描かれた鳥たちが、妙に人間臭いとうか、ほとんどマンガ。ウッドペッカーかカケスのサミーみたくしゃべりだしそうなんです。

これはいくら中世絵画でも、真面目に描いたとは思えませんw 案外、永徳先輩ってお茶目な兄貴だったのかも?って思えてきました。
これを描いた頃はまだ若かったようですし。狩野派のホープとして育ち、豪腕を鍛えつつ、時折茶目っ気もみせる、愉快痛快なダイナマイト☆ガイ
それが晩年、一族の命運をかけた画壇抗争の中心で猛烈に働き、果ての過労死、というのは悲しいですが、男(漢)らしい生き様でもあります。

※絵筆を持った渡り鳥…は雪村でどうですか?

そしてまだ来る大物、円山応挙!

Okyo Pines right
By English: Maruyama Ōkyo (1733-1795)日本語: 円山応挙(1733年- 1795年) (scan by User:Fraxinus2) [Public domain], via Wikimedia Commons

雪松図屏風 円山応挙

これまた至近距離では荒く固い絵だけど、遠目ではリアルではっきりくっきりという不思議。
西洋の遠近法を熟知していたという応挙の描く雪松図は、それまでにない奥行きを備えた3Dな立体感。実際、枝がポリゴンみたいに見えましたw(そこかい)

長々と紹介しましたこれら、長い時を越えて伝えられて来た名作がテーマ別一室それぞれに競演する国宝展は、まさに綺羅星オールスター戦ですね。ほんともう満腹まんぞく。
あ、他の部屋の事も多少、触れておきましょう。

平家納経は豪華絢爛。厳島神社で見たときはさらに凄い印象だったな。
奈良は信貴山からやってきた空飛ぶ護法童子、元祖SF感。ピーエスパー!
平安時代の雅な王朝美術から、院政期は国風文化の最初の爛熟期。この辺りもいいですねぇ。絵巻物大好きごっしー(後白河法皇)人気ありますねぇ。

最も行列が出来ていたのが古代の「金印」裏の畑で正直爺さんが掘り当てたという例のあれですね。
小っちゃ!そして金の輝きがあせない事におどろき。金が世界共通の宝になるわけですね。

おなかいっぱいになってももちろん最初から最後まで国宝を鑑賞しつくしてもとをとったw事はいうまでもありません。
というわけで大変長くなりました。このような駄文に最後までお付き合い下さり、ありがとうございます。
私もこれで益々、日本美術と大陸文化にのめりこみそう。そしてそれを作品に昇華していきますよ。

前回の記事にも、パブリックドメイン画像を付けて分かりやすく?雪舟作品を紹介しています。
感想:国宝展 at 京都国立博物館〜雪舟にツッコミを入れてみる

追記:この記事を書いてる最中、京都博物館よりネット生中継があり、じっくり拝見。
〜京都国立博物館「国宝」展を巡ろう 〜日本の美術の真髄・国宝が大集結〜 ニコニコ生放送

特に企画された研究員さまの生の声と熱意に触れ感動いたしました。
当方こんなとんでもない感想記事でホント申し訳ありません<(_ _)>

美術といえば教養を深めるイメージですが、カジュアルな言葉で皆でわいわい楽しむスタイルもまた良いですね。まさか美術でこんなにおもしろおかしく楽しめるなんて!

私も「月夜」美術番組として復活したいなぁ。

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