2019年09月25日

感想:北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流― at京都文化博物館/初音ミク×北野天満宮

こちらは2019年初春に訪れた「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展の感想blogです。
昨日、菅原道真公をテーマに落書き(つきよみ名義のイラスト)を描いたもので…あわせて記事にしようかと。

※11/11追記:秋深まる11月の休日に、北野天満宮さま参拝してきました。初音ミク×北野天満宮も拝見。
記事を下段に追加しました。



初音ミク水墨_道真Vr.jpg

道真公、月夜に初音ミクを見る by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】

今より少し昔、京の都に、詩(うた)を志す少年がおりました。
美しく澄み渡った月が雪のように輝く夜、花の香りに誘われた少年が庭に出てみると、梅樹の下、美しい調べで歌っている少女に遭遇しました。
そのあまりの優雅さに少年は心動かされ、筆を走らせて、一遍の詩を書き上げました。

月耀如晴雪(げつようせいせつのごとく)
梅花似照星(ばいかしょうせいににたり)
可憐金鏡転(あわれむべしきんきょうてんじて)
庭上玉房馨(ていじょうにぎょくぼうのかおれるを

少年がその少女に名を訪ねると、一言「美玖」とだけ言い残して、たちまち輝く星に包まれて姿を消し、梅の花の香りだけが残りました。

その夜から少年は沢山の優れた歌を詠み、後に京の都を一世風靡する詩歌人になりました。
大人になった道真公は、あの夜の少女との出会いに感謝して、梅の木のあった場所に神社を建立しました。
それから色々あったけど後の世に学問の神さまとして崇められるようになりましたとさ。〜初音美玖天神縁起より

えーもちろんでっち上げのお話ですが(´ω`)
菅原道真公が十一歳で作られたという漢詩がステキすぎたので、引用させて頂きました。

鏡のように輝く月の夜、真っ白な冬の寒さに薫る梅の花を讃えるちょっとしたポエムだけど、漢詩など読んだ事の無い私にも分かる美しさ!
〜月の耀くは晴れたる雪の如し・梅花は照れる星に似たり
デビュー作からとは、どんだけ梅の花が好きやねんって話ですよ。

※ちなみに初音ミクとは…ゼロ年代にネットカルチャーに親しんだ世代には絶大な人気を誇るキャラクター・ボーカロイドです。


さて、展覧会の感想ですが
北野天満宮 信仰と名宝 ―天神さんの源流―|京都文化博物館公式ページ

菅原道真公の事は今まで「学問の神さま」ぐらいにしか思っていなかったのだけれど(あと、神のまにまにの人とか)
こちらの展示の冒頭で紹介されていた漢詩(前述)がもう素敵で、心掴まれました。
続いて、宮廷の舞姫を優美に官能的に讃えた歌、なにげに女子力高いwうーんイメージ変わりましたね。

平安朝きっての秀才・和魂漢才・文武両道。
昨今の空海さまのようにイケメン化ブレイクは必至ですw

そんな道真公を描いた一代ストーリー北野天神縁起絵巻の本物を拝見。
土佐光信筆以外にも色々あるんですね。テーマは同じでも時代ごとの画風が様々で見応えありました。
道真公を描いたプロフも定番だったらしい。
それと中世の仏画〜毛のような超極細の線で描かれていて驚きでした。

さて、縁起絵巻で語られるのは、学問の神さまのもう一つの顔。
宣伝ビジュアルでも使われていたあの鬼神は、恨みを抱いて亡くなった道真公の代わりに都に祟りを成しているの図ということ。
天神さまの眷属、ブラック道真。そういう読み方をするとまた違った物語になるなぁ。
(しかし今思うと…涼殿落雷の図…真っ黒な黒煙、燃えさかる炎に逃げ惑う人々…さぞ怖ろしい出来事だったことでしょう。いくら恨みとはいえ、暴力は絶対いかんですよ道真さま…)

また、北野天満宮という場所の歴史も知る事ができました。
室町時代は「連歌」の拠点。
安土桃山時代は、豊臣家との関わりが多くみられます。

なんと言っても、秀吉さん主催「北野大茶の湯」御触書の立て札がありました、本物!
北野天満宮境内にて大規模な茶会を開く、茶湯・数寄執心の者(茶の湯マニア)は身分・出自を問わず参加せよ、というあれです。
その他秀次公の御触書、秀頼公の寄進記録など。

江戸時代以降は「天神さん」「学問の神」として広く信仰されるようになり、寺子屋などでも分社が祀られたそうです。

なお、展覧会の目玉のひとつは伝説の刀「鬼切丸 別名髭切」昨今の刀剣人気で人だかりができていたような。
でもじっくり拝見したのは、海北友松の水墨画「龍」!でかい!晩年繊細な美しい水墨を描いた友松も龍を描く時はかくも荒々しい筆致かと。
海北友松(かいほう ゆうしょう)は明智光秀の重臣斎藤利三との交流で知られる武家出身の絵師。何度も言ってますが来年の大河ドラマで登場を期待。

というわけで、菅原道真公と京都の歴史文化に浸るディープなひとときでございました。


あと、これは展覧会にはなかったのですが、この時代、出雲の阿国がかぶき踊りを盛んに上演していたという話があります。

初音ミク水墨_おくにVr.jpg

初音ミク歌舞伎踊り by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】
今より少し昔、京の都では、かぶき踊りが大人気だったんだってねぇ。
派手な身なりと立ち振る舞いで「かぶき者」に扮した、我らが初音ミク姐さんが、茶屋の女将を口説く舞台さ。

茶屋のおかかに七つの想ひよ
ひとつふたつは痴話にならぁ
のこり五つは、みな恋慕ぢゃァ

北野天満宮で盛んに演じられたこの「歌舞伎踊り」が、後に形を変えて歌舞伎となり、今に伝わっているんだってねぇ。
そして21世紀の初音ミク姐さんが、歌舞伎を超える「超歌舞伎」に挑むって訳だ。面白いねぇ。
※こちらもでっちあげ偽史というやつですご注意w


さて、京都文化博物館では2019年10月から「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」が始まるそうで、ミュシャに影響を受けたグラフィックやイラストまでカバーするというのでこれは興味深い。

秋は佐竹本三十六歌仙絵にも会いたいしなぁ。
仁和寺では修復された観音堂障壁画の特別公開もあるし…。

京都文化博物館さんは、西尾維新展で結構久しぶりに訪れてちょっと印象が変わりました、京都に根ざしたサブカル方面も期待します。
感想:ぱないの!西尾維新大辞展〜京都篇 at京都府京都文化博物館

なんでも最近京都アニメーションさんの映画ポスターを展示しているそうで。支援募金箱も設置されています。
そして煉瓦作りの建築は、C.H.郵便社(ヴァイオレット・エヴァーガーデン)のモデルなんだとか。
次、京都に行くまでに見られたらいいなぁ。

※11/11追記
■北野天満宮さま参拝
恒例秋のおでかけスケッチにて、秋深まる11月の休日に、北野天満宮さまに参拝。
七五さんのこどもたちや観光客でにぎわっておりました。
またご近所には上七軒(かみひちけん)という京都最古の花街があるんですね、風情がありました。

私的には壮麗な建築物、社殿や門が印象的でした。
「国宝 社殿」桃山建築ならではの豪華絢爛アシメな建築。
そして「星欠けの三光門」夜空の北極星を門の背景に写し込んだ写真が「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展で印象深かったです。

三光門.jpg

原色の聖獣彫刻は色々な刺激を頂けそうです。今こんな絵を描いておりますので。 

青竜_03.JPG

墨絵アートてぬぐい〜四神/青龍・白虎・朱雀・玄武

そしてあちこちで見かける梅の意匠。
菅原道真公と梅花の由来を知っていると、清楚な美しさが際だって感じられます。

御朱印処には、三十六歌仙絵(平成に奉納された作品)。先日、京都博物館にて佐竹本三十六歌仙絵を見てきたばかりで興味深かったです。
傍らにも沢山の奉納絵画が(いずれも色あせて残念ですが)御朱印には、手描きの書の美。境内にも「天満宮」の揮毫や「文道大祖 風月本主」の書。
日本の古典美術が揃っていて目に満足。建築、書、画、さらに舞踊、芸能、花…社寺仏閣は既に総合芸術の砦ですよね。

■初音ミク×北野天満宮
私もチャレンジしたこちらのイベントも拝見してきました。
京都ニッポンフェスティバル〜初音ミク×京都三十六画仙イラストコンテスト

初音ミク」という、ゼロ年代から今も続くサブカルチャーの潮流を見てこよう、そして選ばれなかった自分の絵と、受賞作品との違いを学ぼうというわけです。
一般的にいわゆる「萌え絵」とよばれるジャンルのイラスト〜ミクを支えるファン層10〜30代の若者が好む絵はどのような傾向があるのか…。
私が見た所では…マンガ・アニメ・ゲームで培われた言語で描かれる絵、日本のイラスト=古くは小説の挿絵や映画ポスターなどの文化に育まれた世代とはまた違う、90年代以降のサブカルチャー(マンガ・アニメ・ゲーム)が培ってきた世界観を色濃く感じるものでした。
国宝をアニメートする、のキャッチコピーが表すように<かわいいキャラクターデザイン・リアルな背景・デジタルエフェクト>という特徴。

本当に色んな世代が「お絵かき」というツールで、ミクの可愛さと京都の感動と表現されていて、デジタルツールやSNSの発達という背景がありながら、凄い時代になったなぁと。
そんな中でも選抜イラストレーターさん達はそれぞれプロの技を披露しておられ、色々と勉強になりました。

IMG_2272.JPG

茶菓子「北野大茶湯」がうれしいw

さて、紅葉はまだ見頃ではありませんでしたが、御土居という珍しい史跡を歩いてきました。
豊臣秀吉公が荒廃した平安京を復興させるため、京の街をぐるりと堀や土塁で囲ったというその遺構が天満宮に。以前ぶらタモリで京の街の高低差巡りしてたの思い出しました。
北野大茶の湯以外にも秀吉さん縁をみつけて嬉しい私です。

京の大仏・豊臣秀吉と京都

月与志のカルチャー夜話 第四十五夜 〜墨絵の金字塔、鳥獣人物戯画/京の大仏

こんな記事を書くほどのとよとみスキーです(´ω`)


月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:古典

2019年03月04日

感想:大亦観風『万葉集画撰』を辿る at奈良県立万葉文化館

地元奈良の明日香村に、奈良県立万葉文化館という施設がございます。
日本最古の歌集『万葉集』をテーマにした文化施設で、特にこちらの「万葉ミュージアム」では個人的に興味深い展示がよく行われておりまして、よく通っております。

IMG_7247.JPG

明日香村はどの季節に訪れても自然が美しく、穏やかな風景が広がってほっとできる大好きな土地です。
花と風景のスケッチをするようになってからは、万葉文化館の、万葉の草木を植栽したという庭園がお気に入りの一つです。

そして「万葉ミュージアム」は非常に広く、大きい規模の美術展示が地元でも見られるという、中南和地域の日本画好きにはありがたい施設ですね。

私の記憶に残っている中では、改装中の京都市立美術館から巡って来た「特別展 京都市美術館名品展 美人画100年の系譜 美の継承―万葉日本画へ続く流れ」にて、京都画壇の名作をたっぷり拝見、これはとてもありがたかったなぁ。

そして現代日本画家の三瀬夏之介氏の展示。巨大な作品群鑑賞は万葉文化館の広いスペースあったればこそ、でした。

定番の万葉日本画コレクションも、毎年の楽しみのひとつ。
Rp:すべて見せます万葉日本画〜風景〜at奈良県立万葉文化館

その他、万葉集とその時代をわかりやすく紹介する展示室や、情報図書館、ミュージアムショップ、調査・研究を行う万葉古代学研究所もある、とか。

近辺には古代ロマン漂う飛鳥の名所がありますので、巡り歩く拠点にするのにも良いですよ。古代の魅力に触れにぜひ一度訪れてみてください。

2001年9月15日に開館。“万葉のふるさと”である奈良にふさわしい総合文化拠点を設置の趣旨として整備され、古代文化の魅力を視覚的にわかりやすく紹介する。
奈良県立万葉文化館

IMG_8269.JPG


さて、やまと歌に興味を深めている今日この頃の私ですが。
墨絵アートてぬぐい〜2019早春・椿・梅・龍虎

「万葉集」の世界をもっと深めたい、という今の気分にぴったりの展示がございました。
以下、いつものノリの感想でプルンす(´ω`)

【大亦観風『万葉集画撰』を辿る】

画・書一体の美しい万葉画を拝見できると期待して行って参りました。
日本画家 大亦観風(おおまたかんぷう)氏が万葉学者と相談して内容を検討、じっくり構想を立てた後、日本全国の万葉縁の地を巡ってスケッチを重ね、昭和15年(1940年)完成させた、それが「万葉集画撰」(まんようしゅうがせん)でした。
冒頭では芸術性の高さを第一に考え、物語の挿絵や風俗画とは一線を画するものというような事が述べられていました。

恥ずかしながらよく知らなかった万葉集の世界を全七十一図の絵と書でひととおり体験。
大君が娘にコクる「名告らせね」の冒頭から、大和三山サンカク関係相争い、実は戯れの恋歌?紫野行き標野行き、天の香具山の衣はほすてふに非ずほしたり、不尽の高嶺は真白にそ、ラップ調のヲくララは今は罷ラム子泣くラム、大仏開眼、古代らしい大らかというか赤裸々すぎる愛の歌から、貧しさに負けた世間に負けたのフォークソング、海は死にますか山は死にますかの防人の歌まで、いろいろ違うけどだいたい理解しましたよ!万葉の世界(おい)

そんな調子で楽しく見ていたら様子が変わったのが展示のクライマックス辺り。
万葉集編者といわれる歌人大伴家持(おおとものやかもち)の長歌「海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の辺にこそ死なめ かへりみはせじ」大和朝廷以来天皇家を守る武門の家柄、大伴氏らしい歌なのですが、これが先の大戦中に国民精神を鼓舞する国民歌謡「海行かば」として引用されたといいます。

そして最後の歌「新しき年の初めの初春の 今日降る雪のいやしけ吉事」を、皇室の繁栄を願う言祝ぎ(ことほぎ)として締めくくられておりました。万葉集画撰は紀元二千六百年記念行事として制作されたといいます、古事記と同じく、長く続く伝統的な文化にはこういった時代があったという歴史的事実を知っておく必要がありますね。

それはともかく、少し聞きかじっただけでは分からない奥深き万葉の世界。
せかっく奈良に住み、近隣に立派な施設もあるのだから、少しずつ作品とともに深めて行きたいなぁ。
まずは、万葉の花から。

おでかけスケッチ〜秋の草花

IMG_7251.JPG

2019年4月1日追記
新しい元号が「令和(れいわ)」と発表されました。万葉集由来だそうです。
典拠は奈良時代に完成した日本に現存する最古の歌集「万葉集」。日本で記された国書に由来する元号は確認できる限り初めてとなる。
万葉集にある歌の序文「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」(書き下し文)から二文字をとった。
〜朝日新聞ニュースより

早速「令和」をテーマにした作品を作りたいと思います。

月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:古典

2018年12月27日

感想:物語とうたにあそぶ at中之島香雪美術館〜市中の山居に憩う

師走の多忙の合間を縫って、大阪中之島の高層ビルの中にある、中之島香雪美術館を訪れました。
開館記念展part5「物語とうたにあそぶやまと絵和歌の優美な調和を感じてまいりました。

IMG_7924.JPG

普段は五重塔より高い建物のない奈良に居るので、都会に出てくるとなんだか居心地悪いのですがw
フェスティバルタワーという当世最新の塔に登ったら、そこには思いがけなく詫びた茶室が…。

IMG_7929.JPG

2018年三月にオープンした新しい美術館だけに、美しく上品な空間という印象。
超高透過ガラスと、暗めの照明設定で作品鑑賞に浸れるという狙いがあるのでしょう、歌と物語の世界をたっぷり堪能いたしました。

中之島香雪美術館 開館記念展「 珠玉の村山コレクション 〜愛し、守り、伝えた〜 」V 物語とうたにあそぶ


展示は絵巻と書跡が中心で、やまと絵と和歌の優れた作品が続々と。
この最近興味が高まっているジャンルでもう私的にドストライク!!

ぎゅーんと言魂がしゃうとするのです!
墨絵アートてぬぐい〜龍田川紅葉 


【フリースタイル和様書の世界】

まず最初に遭遇するのは藤原定家(小倉百人一首の撰者)の名高き小倉色紙
正方形に近い色紙にほぼ両端揃え、ひらがな等間隔、太め強めな印象の書風(定家様〜ていかよう)は、鎌倉武家の時代の書ということです。

やはり好きなのはズバリ平安朝のかなの雅
高野切れ(古今和歌集最古の写本・秀吉さんが高野山に伝えた事から)の(伝)紀貫之や、三跡 小野道風の、針金のようにシャープで柔らかい書跡にゾクゾク。

歌の作者の肖像と和歌を組み合わせた「歌仙図」がさらに面白い(江戸期以降は小倉百人一首のカルタなどでお馴染み)
漢字・仮名・変体仮名を自在に組み合わせて、濃淡や大小、疎密、行間の変化を立体的に考えてほぼ即興で書くという…
それがさらに人物絵と呼応するとかほぼレイアウトデザインの世界ですわ。

いわゆる散らし書きという感覚は日本独特の美で、本家中国の書ではまずありえないんだとか(そもそも仮名がない)
それにしても、この自由気ままな改行、配置、変形(かなを曲げたり伸ばしたり)とか…中世の宮廷人フリースタイル具合がはんパナいの!

最近変体仮名(へんたいがな)を少し解するようになりまして、すると暗号にしか見えなかった仮名がしっくり来るようになりまして…
そうなると逆に、平仮名(ひらがな)だけで書いたものはちょっと普通というか、物足りなくなってきたんです。
やっぱりここぞという所にヘンタイを配するとキマるんですよね、以前は読めない仮名は敷居が高い、なんだかいけ好かない、お高くとまりやがって!って思ってたんですがねw
私も立派なヘンタイ紳士に足を踏み入れつつあるのでしょうか。

書のグラフィックな魅力だけではなく、歌そのものも味わい深く面白く、それが絵や書風と響き合うところが、やまと絵&やまと歌が共に在ったという意義なのでしょう。
やまと絵が伝統的に記号的(非写実)なのは、歌や物語との関わりが深かったからではないかと思いました。

歌というのは考えてみると象徴的で記号的な言葉の表現ですからねぇ。
和歌の世界で紅葉といえば竜田川、桜といえば吉野山、山吹といえばぶっきー(フレプリ)ぢゃなかった井手の玉川。
そんな共通認識を利用して、工芸品などの意匠で読み解き遊びを盛り込んだり…源氏物語の表紙の装丁は豪華で美しかったなぁ。

和歌が書かれなかった空白が未完成感のある歌仙図は、珍しい写実的な肖像…と思ったら(伝)円山応挙筆でした。

そういえば、歌仙図といえば讃岐の国の金刀比羅さん、あそこには円山応挙・伊藤若冲もあったなぁとふと思い出した。
香川アートスポット〜金刀比羅宮


【めくるめく絵巻物の世界】

流麗なかな書に静かに興奮しておりましたが、やまと絵もまた素敵でした。定番の源氏物語はいわずもなが。

ずっとみたかった岩佐又兵衛の肉筆画を拝見。保存状態が良いのか、金銀の本来の効果が保たれていてデモーッルト良い!
特に、精密に描かれた武人達の輪郭線が金で輝いてる。やまと絵独特の濃彩色と、金泥の霞の輝きが、本来はキラキラこのように調和しているのかとわかる逸品でした。キラやば〜っ☆

江戸初期の絵師、岩佐又兵衛は人々の喜怒哀楽を描くことで浮世絵の祖とされる(と、へうげもので読んだ)
描いた堀江物語絵巻は武人の仇討ちの物語、侍は元々は貴族に雇われていた私兵で荒事の当事者だったとか、そんな事を思い出させるやや荒ぶる武人像でした。
そんな侍層の中にも黄金の志を抱いた若者がいた、この源頼朝には正しいと信じる夢がある!平家のボスを倒しサムライスターに…略)

浦島物語絵巻、漁師なのにまるで貴族のような生活で描かれているの笑ったw auも驚く荒唐無稽。

池田孤村が描く平安歌人 赤染衛門は美人さんでした。美しい和歌を詠むというだけでときめくという平安貴族の妄想、分かる気がしてきたw
コレクションは中近世のやまと絵が多いそうなのですが、古美術的な価値はともかく、劣化の少ない美しい絵は鑑賞にはよいと思う。

紅葉の小袖がおしゃんてぃーな立ち美人図、「竜田越え」の意が込められているという。
後ほど、伊勢物語の段で詳しい話を知りました。筒井筒で結ばれた夫婦のお話し。

「風吹けばおきつ白波たつた山 夜半にや君がひとりこゆらん」
浮気に出かける旦那の道中を、健気な妻が身を案じて詠んだ歌、そんな物語がこの絵に描かれた女性には含まれていた、奥深いものですねぇ。

伊勢物語のやまと絵、人物はかわいくデフォルメ、でも描写は意外に精密…それって萌絵と同じやん!日本の中世絵画って未熟だから描写が拙いのだと思ってたけど、そうじゃなくあくまでkawaiiのが好きな民族性だったんだねぇw

おっと、有名な絵師の作品もありました。
江戸淋派の祖 酒井抱一の短冊。なんともやわらかくグラフィカルでさすがの優美さでした。
そして葛飾北斎肉筆画帳。まるでグラビア印刷のようなクオリティでほんとに肉筆画なの!?これぞ神業ですねぇ。

感想:葛飾北斎〜富士を超えてatあべのハルカス美術館

IMG_7926.JPG


【中之島香雪美術館】

そんなわけで、有名所も押さえている優品コレクションが、開館記念割引き(ポスカをどこかでゲットした)で800円で楽しめるとかもう十分すぎました。(このジャンルに興味があれば、でしょうけども…)
大阪の新しい美術館、おすすめです。2019年春は鳥獣戯画の特別公開もあるそうですよ(明恵のみた夢の展覧会)

京都博物館で拝見したときの記事
墨絵の金字塔、鳥獣人物戯画を拝見してきました

コレクションにはフーテンの梁さん(梁風子=梁楷)の「布袋図」もあるそうです(東山御物・重文)お土産のパッケージになってたw
感想:国宝展 at 京都国立博物館〜等伯×永徳・牧谿×梁楷 水墨画オールスター祭りだよ!


香雪美術館は、朝日新聞社の創業者、村山龍平(号:香雪)氏が収集された美術品を展示する施設ということで、コレクションはこれらの他に、数寄者らしい刀剣などの武具・茶器・書跡・仏教美術が中心。
朝日新聞って大阪だったんですねぇ。フェスティバルホール、甲子園の全国高校野球、東洋古美術誌「國華」の支援など、様々な文化的後援もされているとか。

館内にはお茶室がまるっと再現、古田織部の茶室「燕庵」の写しだそうです(藪内流燕庵→玄庵→中之島玄庵イマココ)
「燕庵」(えんなん)というと、客人のお供(ご家来衆)の相伴席を設けたという事で、戦国の世で利休居士が主客の立場や身分の差を超えた密接な場として発展させた茶室を、古織殿が新たな江戸の武家社会にあわせて変えたとか師の意志を曲げたとか(と、へうげもので読んだ)いわれてたアレですね。

戦国の世に発達した茶室は、戦の合間にほっと心を和ませる空間として多忙でストレスフルな大名武将達に必要とされたのだろう…と、再現された茶室を眺め思いを馳せつつ、大阪ビジネス街ど真ん中のこの美術館はまさに市中の山居でした。

日本美術の優美な世界に浸ったら、さぁ年末の追い込みにいざゆかん!
(と、いいつつこんな長文書いてしまったオレ乙)

玄庵.JPG
中之島玄庵
追記2019年2月
二回目の「物語とうたにあそぶ」へ。岩佐又兵衛の絵巻や北斎肉筆画帳の別画を拝見。でもそれ以上にかなの達人の優雅な書跡を眺めるのがディ・モールト心地よい!

月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 06:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:古典