2019年06月11日

墨絵アートてぬぐい〜2019春夏・藤・山吹・八重桜

日本の花と歌シリーズ、春から初夏の新しい作品をお納めしました。
前回記事のスケッチから、山吹八重桜の三花を作品化しました。

【八重桜】
いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな 〜伊勢大輔 百人一首

やえざくら.jpg

見た目に麗しい桜です。こちらは奈良公園で見かけた八重桜から。
写真では伝わりませんが、豪華な雰囲気を醸す工夫を入れています。


【山吹】
山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく 〜高市皇子 万葉集

やまぶき.jpg

明日香村万葉文化館の庭園で見つけた山吹から。
八重山吹が華やかでしたが、歌の雰囲気から一重にしました。
個人的にはかな書も含め最もシンプルに構図がまとまった佳作ではないかと。
飛鳥・奈良時代の出来事に詳しくなると、悲劇の皇子や姫の歌は必ず入れたくなりますね。

【藤】
恋しけば 形見にせむと わが屋戸(やど)に 植ゑし藤波 いま咲きにけり 〜山部赤人 万葉集

ふじ.jpg

萬葉植物園の藤苑で取材した藤より描きました。
さすが藤は絵になりますねぇ。
砂ずりの藤と鹿をあわせた長物(てぬぐいサイズ)を構想してます。

花に関する詳しい内容は、こちらの記事をご覧下さい。
おでかけスケッチ〜嵯峨野・嵐山/春の花々〜桜・山吹・藤・躑躅


すっかり季節の花々にはまっている今日この頃です。
最近ようやく荒れ果てていた庭を手入れして、少しずつ花を植える試みを始めました。
手元に置いて毎日観察したら、もっと花の事が分かり、美しく描けるはず。

昔の絵師は、師匠に弟子入りしたら「何でもかんでも描くんじゃねぇ、まず一つのものを極めろ」と諭されたそうで。
私も先ずは、花にじっくり向き合ってみたいと思い、始めました(といってもまた花で目移りしている次第)

観察すると、花々にはひとつひとつ特長があります。それをどう抽出して美しい形に造形するか。
また、画面にどうレイアウトすれば美しく映えるか。
花は単純でシンプルだけど、工夫次第でいくらでも広がりが出せる、とようやく実感するようになりました。

いや、そもそも和歌の書だけ取りだしても、どこで改行するか、どの文字を漢字にし、仮名にするか。
ひと文字の配置、変形具合、前後のつながり、行間・字間。
さらに濃淡や、滲みと掠れのコントラスト、と表現の幅はとっても広く、墨一色でも十分楽しめます。

それに、鮮やかな花図との対比や構成があるのですから、たかが花と和歌というなかれ、奥深いものがあります。
これだけで十分、描写や構成の学びになりますので、龍やら侍やら描くのはまだまだ早かったようですね。

ところで、庭の雑草たちは非常に生命力が強く、刈り取っても数ヶ月でまた勢力を伸ばしてきて驚きです。
この世で一番生命力が旺盛なものは植物というのも納得、数百年〜千年生きる木樹もあるといいます。
一方花々は水がないと直ぐに枯れ、手入れ次第では花も付けないという繊細さ。
スケッチする暇がないうちにあっという間に萎んでしまう…なんでしょうこの両極端。


【和歌について】
まだ和歌の世界は入門ぐらいのものですが、万葉集などの古代の歌と、百人一首の平安貴族の和歌では随分趣が違うと思い始めました。
万葉歌人の頃は、中国の教養をお手本に、歌も公式行事のようなかしこまった感があるものが多い印象ですが(庶民の歌は別)
平安時代は、中国の影響が薄れた国風文化の時代、仮名も生まれ、和歌そのものも洗練され、技巧に優れ、バラエティに富んだものが多い印象です。

このblog的に例えると、万葉の時代は、昭和初期の歌謡曲フォークのような素朴さ。
平安時代は、1980年代の歌謡曲黄金時代のように、それまでの積み重ねが文化として花開いたかのようです。
つまり額田王美空ひばりなら、紫式部ユーミンで、小野小町松田聖子ということですね(´ω`)

そして「ガラスの林檎」と「リンゴ追分」って時代感全然違うけど、どっちも昭和歌謡、みたいな。

それはともかく、背景を知るほど、作品に書く和歌は奈良に縁の深い万葉集より選ぶことが自ずと増えてきました。
しかしながら万葉集は、万葉仮名のイメージ。平安時代に完成されたというかな書風に書くのはいかがなものか、と思ったりするのですが…。
視覚的な美しさを優先して、今はこのスタイルで。恐れながら額田王には十二単を着て頂きます
(尚、墨絵アートてぬぐいにする時点では変体仮名は極力使わないようにしています)

次は初夏のきらやば☆な花々を描きたいな。


春にお納めした早春の花々。
墨絵アートてぬぐい〜2019春・桜・桃・乙女山茶花・水仙


前回お納めした「令和」の作品
墨絵アートてぬぐい〜令和をお迎えする・梅桃桜

墨絵アートてぬぐい〜令和染め

染めの質感は心引かれます。またやりたいなぁ。



来上がり次第随時お納めしておりますが、手描きですので数に限りがございます、予めご了承ください。
最新作はSNSにて随時お伝えしております。

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墨絵アートてぬぐいにつきまして、詳細は以前の記事をご覧下さい
朱鳥さま 墨絵アートてぬぐいのご案内

月与志|手描き墨絵てぬぐい


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posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 07:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 墨絵Artてぬぐい
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