2017年08月22日

感想:生誕100年 長沢節展 at 弥生美術館

更新が随分と遅くなりました。春の東京レポート「ヲノヴォリ」編の最後です。

2017年4月、東京 弥生美術館で開催された「生誕100年 長沢節展ーデッサンの名手、セツ・モードセミナーのカリスマ校長ー」に行ってきました。

細くて、軽くて、弱いからこそ美しい−。
独特の美意識で流麗なイラストを描き、日本のファッション・イラストレーション界をけん引した長沢節(1917-1999)。
固定観念にとらわれないユニークな〈セツ美学〉は、ものの考え方、暮らし方全般にもおよび、主宰した美術学校セツ・モードセミナーでは多くの若者たちに感化を与えました。
長沢節の生誕100年を機に〈セツ美学〉の全貌に迫ります。
公式サイトより


東京文京区にある弥生美術館へは初めて訪れました。いつも興味深い展示を企画されていて関西にいながらも気になっていた美術館です。
まずは竹久夢二美術館で大正モダンの世界に浸りました。
折しもミュシャ展を堪能していたので、大正・昭和モダンに興味を深めているところです。

そして長沢節展へ。
ファッションに疎い私ですので、長沢節先生のことはこれまで存知あげませんでしたが、
人物クロッキーなどをやっていると、時折目にするものすごいかっこいい人物デッサン画がありまして、それが長沢節の描いたものだ、と噂はかねがね。
会場では生のデッサンが多数展示されていまして、ホントに見事な描写っぷり、特に線の心地よさに酔いしれました(´ω`)
ちなみに節先生は墨と筆で描く名手だったそうです。

おっと、それだけではありません、今回の目玉は「憧れの60年代」の東京ファッションショー(再現)を拝見する事でした。

「生誕100年 長沢節展」は4月23日で閉校するセツ・モードセミナーが公式で開催する最後の展覧会となり、約300点の作品に加えて、非公開とされてきた校内の写真が展示。
長沢節が1967年にプロデュースしたファッションショー「モノ・セックス・モード・ショウ」を再現。



■モノ・セックス・モード・ショウ

1967年、長沢節が開催した挑発的な試みが<モノセックスモードショウ>だ。
ガリガリに瘦せた細い男性にスカートを履かせ、半裸ともいえる状態の衣服を着たモデルが闊歩するファッションショーは世間の度肝を抜いた。
男女の区別なく、人体の細くて長くてごつごつした部分にセックスアピールを感じる自らの嗜好と、社会における男女差別やアメリカによるベトナム侵攻など、強者が弱者を圧する権威主義への反抗心から生み出された、長沢節らしいデモンストレーション…(展覧会のカタログ本より)


ね、実に60年代らしいパフォーマンスですよねぇ。

美術館のギャラリースペースを舞台としてショーは行われました。モデルさんが階上から降りてくる様は、発表当時のワシントン靴店銀座本店(当時世界最大級の靴店で、売り場にエスカレーターがあって話題になったとか)の雰囲気を再現したのでしょうか。
ショー音楽が無いのは節先生こだわりとも。そういったショーアップされない素朴さが新鮮でした(節先生が体験した昔のパリモードの雰囲気なのでしょうか)
今風の舞台や派手な音楽がなくても、モデルと服が格好良くて迫力があり、強くテーマが伝わってくる良いステージでした。

モノセックス=細くて弱いものこそが洗練された知性的な存在である
そこにこめられた「男らしさ」への批評。これは50年経っても通用するテーマだと感じます、というか未だに人の意識が大きく変わっていないことが問題ですね…。


その後、展覧会のカタログ本「長沢節 デッサンの名手、セツ・モードセミナーのカリスマ校長」(内田静枝編)をしっかり読みました。
美しいデッサン画の秘密は…人体美へのこだわり。その偏愛っぷりは男女わけへだてなく、ほぼフェティシズムの領域でちょっとビビりましたが 笑)なぜその人が美しく見えるのか、そのヒントが掴めた気がします。

そしてその絵以上に、かなりユニークというか魅力的な長沢節先生。枠に収まらない存在感がその語録や逸話から伝わって来ます。
有名なセツモードセミナーも、節先生と共に学ぶ私塾。それは絵のテクニックとかではなく、いってみれば「自由を尊ぶ精神」というような事だったのでは、と思ったり。

個人的には大正生まれの節先生の人生録〜故郷は会津若松・白虎隊失格の中学生の孤独・戦前の自由でリベラルな校風の文化学院・モダンボーイ・戦中下のダンスパーティー・戦後のアトリエ村池袋モンパルナス・戦後の空前の洋裁ブーム・水彩画家からスタイル画・ファッションイラストレーターへ・モードの都パリへ飛び込んでゆく話とか、興味深かったです。
50〜60年代の東京人のパリモードへの憧れはすさまじい。当時のファッションに関わる人々の情熱は激しかったのだなと。
日本が熱かった時代を想像してみました。

setsu.jpg
こちらは向学の為、節先生のデッサンを模写したものです。


以上、東京レポート「ヲノヴォリ」編でした。
感想:ミュシャ展 at国立新美術館
→感想:大エルミタージュ美術館展 at森アーツセンターギャラリー
感想:すみだ北斎美術館

■最近の事
blogも随分間が空いてしまいましたが、こつこつと更新していきますので、どうぞよろしく。
Deers Nara StudioのCloseに伴い「月与志のカルチャー夜話」は只今充電休止中でございます。
2017年は、秋の正倉院展に向けて、墨絵Artてぬぐいシリーズの充実を目指し、力を入れております。
そんな折、水墨画マイブームです。特に中国水墨画は本当に凄い(いまさらですが)今年は西洋絵画に目を向けると言いながら早速方向転換という 笑)
以前のようにダイレクトに「今」をお伝え出来ないのは残念ですが、長い目で見ていてくだされば幸いです。

2017年 晩夏

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posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:近現代
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