2016年10月08日

レポート:大妖怪展atあべのハルカス美術館

久しぶりのアートレポートです。
2016年夏、大阪あべのハルカス美術館で開催中の「大妖怪展〜土偶から妖怪ウォッチまで」に行ってきました。
今年は妖怪や地獄絵が話題に上がる事が多い気がいたしますが、そんな中開催されている本格的な展覧会。
大妖怪展〜土偶から妖怪ウォッチまで

大きな特長といたしまして、日本人にとって妖怪とは何かを探るテーマを持っていることがまず挙げられます。
土偶から妖怪ウォッチまでというタイトルが示すように、日本の歴史を遡りながら、その時代ごとに現れた「妖怪的なもの」古代の土偶、中世の怪異もののけ地獄の鬼百鬼夜行付喪神(つくもがみ)近世の妖怪、そして現代の妖怪ウォッチなどが取り上げられておりました。

妖怪〜つまり日本人が怪異的な物事に何を感じどうつきあってきたのかが形となったものですね、その流れを俯瞰できる・見応えのある展示でした(いわゆる妖怪図鑑的な展示ではありません)

もうひとつの特長としては、一般的な展覧会のようにアート作品を鑑賞するものであること。
今までは民俗学で語られる事が多かった妖怪が、美術史観で鑑賞できるというものです。
土偶や絵巻物地獄絵辟邪絵浮世絵、そしてアニメ…。

あの伊藤若冲が描くユニークな付喪神、歌川国芳の迫力ある怪奇な浮世絵、月岡芳年の優れて耽美的な恐怖絵といった名高い絵師の作品を拝見できただけでも私は満足いたしました。そして最も眼福だったのは葛飾北斎の肉筆画でした。
土佐光信鳥山石燕はもちろん、貴重な国宝や重要文化財指定の六道(地獄)絵なども拝見。劣化が激しいのは正直残念ですが、歴史的なものです。
昭和に妖怪を広めた水木しげる先生は登場いたしませんが、日本の妖怪を俯瞰して知るには良いかと思います。

ところで、仏道で教わる地獄の恐ろしさを伝えるために描かれたであろう地獄絵は、残酷で怖ろしい絵に違いないのですが、どうも中には…明らかに楽しそうな地獄絵があったりして驚愕しました。
江戸の稚拙美という説明がありましたが…そういった感覚が存るのか、と頭に留め置きましょう。

いわゆる「妖怪」が形作られるのは江戸時代。江戸という都市で文化が飛躍的に発展し出版物が沢山つくられたといいます。
それまで怪異的なものに様々な形が与えられてきたものが、ここで熟成され?妖怪と名付けられ発展したようですね。
この頃に作られた妖怪百科事典的な本も多数紹介されていました。

で、この頃から「妖怪」はなんだか可愛いく描かれていることに気がつきます。身近な物が化けた(今で言う擬人化?)付喪神はもちろん、江戸時代に流行した怪談・幽霊なども、怖ろしさの裏にある悲しみと申しましょうか、単に禍々しいだけではない、人への情が見え隠れする存在のような気がします。

そんなわけで、日本人のKAWII(かわいい)文化のルーツを見いだして、一枚描いてみました。

妖怪展.jpg

現代の妖怪ウォッチはもう直球ストレートに、カワイくユルいキャラで描かれておりますね。

ところで、この展覧会を観た後、映画「シンゴジラ」を観ました。ゴジラは圧倒的に禍々しく、人が畏れる神のような存在として描かれておりました(シンゴジラについては私の番組で3回ほど取り上げましたのでまた後ほど)
その強烈に怖ろしいジンゴジラを「蒲田くん」「品川くん」としてとっても可愛らしく描き直し愛でる事が一部で流行っております。
シリアスなもの怖ろしいものを、可愛く捉え直す、というのが近頃の若い世代で流行る美意識だと発見したのですが、実はもっと昔からあったことなのかもしれませんね。

というわけで、大阪あべのハルカス美術館で開催中の「大妖怪展」2016年11月6日まで。

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posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 02:29| Comment(0) | 感想:古典
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