2016年08月01日

Rp:生誕300年記念 伊藤若冲展 at相国寺承天閣美術館

生誕300年記念でブーム再燃の伊藤若冲。
2016年春、東京国立博物館で大行列が出来たと聞きました。
その伊藤若冲が生涯を過ごした京都では、秋〜冬にかけて若冲に関する展示が京都市美術館や京都国立博物館でもあるそうです。

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※こちらは稚拙ながら私の描いた鳳凰です、すいません…諸事情でここに貼付

そんな中、最も重要な場所、京都の相国寺 承天閣美術館で行われた生誕300年記念 伊藤若冲展に行って参りました。
ここではあの「動植綵絵全三十幅」(複製)が観音法要を再現した配置で拝見できます。

生誕300年記念 伊藤若冲展(相国寺承天閣美術館)

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伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)は、江戸時代中期に京都で活動した絵師。写実と想像を融合させた「奇想の画家」として近年何度かブームを呼んでいる画家です。
墨絵の佳作を多く残しているのですが、今回は代表作「動植綵絵」(どうしょく さいえ)を拝見。
怖ろしい程の緻密な描き込みは噂通り。常道を逸すと申しますかあまりにも過剰なので…もう笑ってしまうぐらいのレベルです。
プライス氏(若冲コレクター)もきっと「クレイジ〜〜!」と呟いたことでしょう。

「動植綵絵」は若冲生涯の傑作とされています。鋭気みなぎる時分に時間と労力を注ぎ込んで描いた全30幅の大作。
緻密に描かれてた草木・鳥・魚・虫などと、幻想的に咲き乱れる花々が印象的な彩色画です。
中国画から絵を学んだ若冲は、やがて写実の手法を取り入れ、独自の画風を確立したといいます。
写実でありながら超現実的な…まるで近代絵画の幻想画のような域に、すでに達しているのが不思議な所です。

拝観のポイントをひとつ。「丹青活手妙通神」の落款(印)が押されたものが、全30幅の中に数点あります。
これは、若冲が心の師匠と仰いだ一人「売茶翁」(ばいさおう)から頂いた言葉
「丹青活手(たんせいかっしゅ)の妙、神に通ず」
意訳すると…君のアートはすげえぜ!神業だ!若冲my men!…というような意味。

この言葉を印章にし、それが押されたものは若冲の生涯で数点しか確認されていないということなので、
おそらく彼の中で「神に通じる」絵が描けた証だったのではないかと思われます。

「動植綵絵」は相国寺に寄進され、毎年の「観音懺法会」で「釈迦三尊図」と共に掛けられ厳修されたものです(参拝者に一般公開し、参道は出店が立ち並ぶほど賑わったという)
この連作は「山川草木悉皆仏性」の思想を、「三十三応身」になぞらえて描き出したということだそうで…つまり自然のあちこちに仏が宿っているということでしょうか?仏教というか禅の教えに深く関わっているのも若冲の絵の特長ですね。

若冲にとって売茶翁と共に心の師匠(禅の師)だったもう一人が、相国寺の禅僧・大典顕常(だいてん けんじょう)で、年も近く生涯を通して親しくしていたらしい。

相国寺は室町時代の文化の中心になった場所の一つで、鹿苑寺(金閣寺)・慈照寺(銀閣寺)を擁している寺院。
若冲の時代の相国寺は禅宗文化の拠点として人々を魅き付けたそうです。

若冲は、京都・錦小路にあった青物問屋の若旦那だったのですが、40歳で家業を弟に譲ってはやばやと隠居し、画業に没頭する日々だったとか。
経済的に豊かだった事と、導いてくれる禅の師匠の存在が若冲芸術を生んだと思われます。
ただし、生涯を追うと、町年寄として錦市場の為に命がけの訴えをしたとか、大火で焼き出され晩年は困窮したとか…色々あったようです。

人となりは、絵を描くこと以外に何事も興味を示さない、商売、芸事、酒もやらず、生涯妻も娶らなかったという。
庭に鶏を放し飼い、共に暮らし写生したとか、色々逸話が残っています。

彼の絵にかける情熱、というか執念を、作品から感じとり、心の中に持ち帰りました。

なお、こちらの「動植綵絵」はコロタイプ印刷(やや古風な美術複製技術)による複製品ということです。
相国寺にあったオリジナルの「動植綵絵」は、明治時代に皇室に献上され、現在は宮内庁三の丸尚蔵館の保管、今年修復公開されトーハクで行列になったのがそれです。
(あまり触れられませんが献上に至った経緯については色々考えさせられます)

相国寺承天閣美術館の伊藤若冲展では「動植綵絵」の他に、若冲が手がけた鹿苑寺金閣の障壁画(重文)や、犬に仏性は宿るか?の初期の名作、若冲心の師匠 売茶翁を描いた一枚などがあり、さすが若冲のホームグラウンド。
若冲300Year 京の陣では最も重要な展示の一つではないでしょうか。

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京都に今もある錦小路の市場には、伊藤若冲の碑がございました。


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posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 13:51| Comment(0) | 感想:古典
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