2016年05月11日

Rp:琳派と風俗画/日本の美術

奈良 大和文華館「琳派と風俗画 − 宗達・光琳・乾山・抱一」のレポートです。
国宝「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」にも久しぶりに対面してきましたよ。


琳派
「琳派」につきましては、昨年の京都国立博物館の展示で初めて触れまして、この時はあまりの物量で、逆によく分からなかったのですが(笑)
Rp:「琳派 京(みやこ)を彩る」琳派誕生400年記念〜京都国立博物館

今回は少し理解が深まりました。
その始まりは、桃山文化華やかなりし頃、本阿弥光悦・俵屋宗達ら京都の上層町衆で生まれた美意識。
当時の武家・町人が、華やかな王朝文化に憧れた、いわば過去のオマージュだったわけです。
それでいて、明るい開放的な桃山時代の美意識も反映していた、とあります。

つまり新時代のリーダー層が求めた、華やかな貴族趣味と武家の気質の融合、それに応えた当世風の表現だった、と。
美術の歴史というのは本当に面白いですね。

このスタイルを後世(江戸時代)、私淑(自ら後継者になる)という形で引き継いでいったのが「琳派」ということです。
例えば、酒井抱一は、尾形光琳の画業を称える没後100年記念イベントを企画したり、自らの光琳コレクションを元に記念本を制作、出版したり。そんな展示もあり、分かりやすかったです。

大和文華館のコレクションは初めてではないのですが、今回も色々新しい見所を発見しました。
(わたしの見る目も少しは養われつつあるのかな、と…)

渡辺始興「四季花鳥図」は美しかったです。
写生(リアル・彩)と水墨画(抽象・デフォルメ)の融合。すでにこのような絵が江戸時代に描かれていたとは…。
江戸中期に丸山応挙の写生派が登場して、日本画が大きく変わったようです。

葛飾北斎の肉筆画のリアリズムとも繋がりました。
信州小布施 北斎館に行ってきました

鑑賞する者の知識や見る目が養われなければ、なかなか味わえないものなのかもしれません。


風俗画
今回のもうひとつのテーマは「風俗画」桃山〜江戸の華やかなファッションに身を包んだ人々(主に歌舞伎ものや遊女)を描いた絵です。
華やかなファッションはいつの時代も人々の憧れだったのですね。(因みにファッション・音楽・アート表現はカルチャー三種の神器と勝手に考えています)

国宝「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)は、桃山時代らしいやや奇抜な衣装や南蛮渡来の珍しい遊具に興じる遊女達をなんと実寸大で描いています。
京都の美人画、江戸の浮世絵に引き継がれて行く、こういったやや軽いミーハーな?趣向は、日本人独自のものなのかもしれません。

明治以降に日本に輸入された西洋芸術では、人生の重いテーマなどを絵画に求めがちですので、こういった絵は軽んじられたのでしょうか、浮世絵などは廃れてしまいました。勿体ないことです。
私としてはいつか、この様式を受け継いで、昭和の美人画を描いてみたいものです(あくまで昭和にこだわり)


日本の美術

最近は番組で、現代日本の最も人気がある「絵画表現」として「アニメーション」を、その歴史を含め深く掘り下げてきましたが、それも一段落し、再び古典(日本美術)にも目を向けております。

日本の美術は、いい意味でフリーダムと申しましょうか。体系化されなかったおおらかさ、多様性があり、知れば知るほど面白い世界です。
古代・中世と、美術を必要とし牽引してきたのは、豪族・貴族、仏教、武家など…。
細かく観ていけば、王朝趣味、浄土思想、禅思想、幽玄、豪華絢爛から侘び寂びまで。数寄から粋まで。雅な世界から浮き世まで。時代によって様々な特長がありとても豊かです。

今の我々が知っているジャンルとしての「日本画」は、明治期の近代化政策により西洋画に習って生まれたものだそうで、
江戸時代以前の日本の画はまったく別物として観たほうが理解できるし、なにより魅力が楽しめると思います。

美術館や画廊にある芸術作品は、純粋でとても面白いですが、
日本の美術は(特に中世のものは)屏風や書や着物や刀剣のような日常の中にある美であったり、茶の湯のような道楽であったり、風俗画や浮世絵のような人々の娯楽であったようで、これはこれで面白い世界です。

また深めていければと思います。

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posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 04:06| Comment(0) | 感想:古典
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