2019年09月25日

感想:北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流― at京都文化博物館/初音ミク×北野天満宮

こちらは2019年初春に訪れた「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展の感想blogです。
昨日、菅原道真公をテーマに落書き(つきよみ名義のイラスト)を描いたもので…あわせて記事にしようかと。

※11/11追記:秋深まる11月の休日に、北野天満宮さま参拝してきました。初音ミク×北野天満宮も拝見。
記事を下段に追加しました。



初音ミク水墨_道真Vr.jpg

道真公、月夜に初音ミクを見る by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】

今より少し昔、京の都に、詩(うた)を志す少年がおりました。
美しく澄み渡った月が雪のように輝く夜、花の香りに誘われた少年が庭に出てみると、梅樹の下、美しい調べで歌っている少女に遭遇しました。
そのあまりの優雅さに少年は心動かされ、筆を走らせて、一遍の詩を書き上げました。

月耀如晴雪(げつようせいせつのごとく)
梅花似照星(ばいかしょうせいににたり)
可憐金鏡転(あわれむべしきんきょうてんじて)
庭上玉房馨(ていじょうにぎょくぼうのかおれるを

少年がその少女に名を訪ねると、一言「美玖」とだけ言い残して、たちまち輝く星に包まれて姿を消し、梅の花の香りだけが残りました。

その夜から少年は沢山の優れた歌を詠み、後に京の都を一世風靡する詩歌人になりました。
大人になった道真公は、あの夜の少女との出会いに感謝して、梅の木のあった場所に神社を建立しました。
それから色々あったけど後の世に学問の神さまとして崇められるようになりましたとさ。〜初音美玖天神縁起より

えーもちろんでっち上げのお話ですが(´ω`)
菅原道真公が十一歳で作られたという漢詩がステキすぎたので、引用させて頂きました。

鏡のように輝く月の夜、真っ白な冬の寒さに薫る梅の花を讃えるちょっとしたポエムだけど、漢詩など読んだ事の無い私にも分かる美しさ!
〜月の耀くは晴れたる雪の如し・梅花は照れる星に似たり
デビュー作からとは、どんだけ梅の花が好きやねんって話ですよ。

※ちなみに初音ミクとは…ゼロ年代にネットカルチャーに親しんだ世代には絶大な人気を誇るキャラクター・ボーカロイドです。


さて、展覧会の感想ですが
北野天満宮 信仰と名宝 ―天神さんの源流―|京都文化博物館公式ページ

菅原道真公の事は今まで「学問の神さま」ぐらいにしか思っていなかったのだけれど(あと、神のまにまにの人とか)
こちらの展示の冒頭で紹介されていた漢詩(前述)がもう素敵で、心掴まれました。
続いて、宮廷の舞姫を優美に官能的に讃えた歌、なにげに女子力高いwうーんイメージ変わりましたね。

平安朝きっての秀才・和魂漢才・文武両道。
昨今の空海さまのようにイケメン化ブレイクは必至ですw

そんな道真公を描いた一代ストーリー北野天神縁起絵巻の本物を拝見。
土佐光信筆以外にも色々あるんですね。テーマは同じでも時代ごとの画風が様々で見応えありました。
道真公を描いたプロフも定番だったらしい。
それと中世の仏画〜毛のような超極細の線で描かれていて驚きでした。

さて、縁起絵巻で語られるのは、学問の神さまのもう一つの顔。
宣伝ビジュアルでも使われていたあの鬼神は、恨みを抱いて亡くなった道真公の代わりに都に祟りを成しているの図ということ。
天神さまの眷属、ブラック道真。そういう読み方をするとまた違った物語になるなぁ。
(しかし今思うと…涼殿落雷の図…真っ黒な黒煙、燃えさかる炎に逃げ惑う人々…さぞ怖ろしい出来事だったことでしょう。いくら恨みとはいえ、暴力は絶対いかんですよ道真さま…)

また、北野天満宮という場所の歴史も知る事ができました。
室町時代は「連歌」の拠点。
安土桃山時代は、豊臣家との関わりが多くみられます。

なんと言っても、秀吉さん主催「北野大茶の湯」御触書の立て札がありました、本物!
北野天満宮境内にて大規模な茶会を開く、茶湯・数寄執心の者(茶の湯マニア)は身分・出自を問わず参加せよ、というあれです。
その他秀次公の御触書、秀頼公の寄進記録など。

江戸時代以降は「天神さん」「学問の神」として広く信仰されるようになり、寺子屋などでも分社が祀られたそうです。

なお、展覧会の目玉のひとつは伝説の刀「鬼切丸 別名髭切」昨今の刀剣人気で人だかりができていたような。
でもじっくり拝見したのは、海北友松の水墨画「龍」!でかい!晩年繊細な美しい水墨を描いた友松も龍を描く時はかくも荒々しい筆致かと。
海北友松(かいほう ゆうしょう)は明智光秀の重臣斎藤利三との交流で知られる武家出身の絵師。何度も言ってますが来年の大河ドラマで登場を期待。

というわけで、菅原道真公と京都の歴史文化に浸るディープなひとときでございました。


あと、これは展覧会にはなかったのですが、この時代、出雲の阿国がかぶき踊りを盛んに上演していたという話があります。

初音ミク水墨_おくにVr.jpg

初音ミク歌舞伎踊り by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】
今より少し昔、京の都では、かぶき踊りが大人気だったんだってねぇ。
派手な身なりと立ち振る舞いで「かぶき者」に扮した、我らが初音ミク姐さんが、茶屋の女将を口説く舞台さ。

茶屋のおかかに七つの想ひよ
ひとつふたつは痴話にならぁ
のこり五つは、みな恋慕ぢゃァ

北野天満宮で盛んに演じられたこの「歌舞伎踊り」が、後に形を変えて歌舞伎となり、今に伝わっているんだってねぇ。
そして21世紀の初音ミク姐さんが、歌舞伎を超える「超歌舞伎」に挑むって訳だ。面白いねぇ。
※こちらもでっちあげ偽史というやつですご注意w


さて、京都文化博物館では2019年10月から「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」が始まるそうで、ミュシャに影響を受けたグラフィックやイラストまでカバーするというのでこれは興味深い。

秋は佐竹本三十六歌仙絵にも会いたいしなぁ。
行ってきました→感想:流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美 at京都国立博物館

仁和寺では修復された観音堂障壁画の特別公開もあるし…。

京都文化博物館さんは、西尾維新展で結構久しぶりに訪れてちょっと印象が変わりました、京都に根ざしたサブカル方面も期待します。
感想:ぱないの!西尾維新大辞展〜京都篇 at京都府京都文化博物館

なんでも最近京都アニメーションさんの映画ポスターを展示しているそうで。支援募金箱も設置されています。
そして煉瓦作りの建築は、C.H.郵便社(ヴァイオレット・エヴァーガーデン)のモデルなんだとか。
次、京都に行くまでに見られたらいいなぁ。

※11/11追記
■北野天満宮さま参拝
恒例秋のおでかけスケッチにて、秋深まる11月の休日に、北野天満宮さまに参拝。
七五さんのこどもたちや観光客でにぎわっておりました。
またご近所には上七軒(かみひちけん)という京都最古の花街があるんですね、風情がありました。

私的には壮麗な建築物、社殿や門が印象的でした。
「国宝 社殿」桃山建築ならではの豪華絢爛アシメな建築。
そして「星欠けの三光門」夜空の北極星を門の背景に写し込んだ写真が「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展で印象深かったです。

三光門.jpg

原色の聖獣彫刻は色々な刺激を頂けそうです。今こんな絵を描いておりますので。 

青竜_03.JPG

墨絵アートてぬぐい〜四神/青龍・白虎・朱雀・玄武

そしてあちこちで見かける梅の意匠。
菅原道真公と梅花の由来を知っていると、清楚な美しさが際だって感じられます。

御朱印処には、三十六歌仙絵(平成に奉納された作品)。先日、京都博物館にて佐竹本三十六歌仙絵を見てきたばかりで興味深かったです。
傍らにも沢山の奉納絵画が(いずれも色あせて残念ですが)御朱印には、手描きの書の美。境内にも「天満宮」の揮毫や「文道大祖 風月本主」の書。
日本の古典美術が揃っていて目に満足。建築、書、画、さらに舞踊、芸能、花…社寺仏閣は既に総合芸術の砦ですよね。

■初音ミク×北野天満宮
私もチャレンジしたこちらのイベントも拝見してきました。
京都ニッポンフェスティバル〜初音ミク×京都三十六画仙イラストコンテスト

初音ミク」という、ゼロ年代から今も続くサブカルチャーの潮流を見てこよう、そして選ばれなかった自分の絵と、受賞作品との違いを学ぼうというわけです。
一般的にいわゆる「萌え絵」とよばれるジャンルのイラスト〜ミクを支えるファン層10〜30代の若者が好む絵はどのような傾向があるのか…。
私が見た所では…マンガ・アニメ・ゲームで培われた言語で描かれる絵、日本のイラスト=古くは小説の挿絵や映画ポスターなどの文化に育まれた世代とはまた違う、90年代以降のサブカルチャー(マンガ・アニメ・ゲーム)が培ってきた世界観を色濃く感じるものでした。
国宝をアニメートする、のキャッチコピーが表すように<かわいいキャラクターデザイン・リアルな背景・デジタルエフェクト>という特徴。

本当に色んな世代が「お絵かき」というツールで、ミクの可愛さと京都の感動と表現されていて、デジタルツールやSNSの発達という背景がありながら、凄い時代になったなぁと。
そんな中でも選抜イラストレーターさん達はそれぞれプロの技を披露しておられ、色々と勉強になりました。

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茶菓子「北野大茶湯」がうれしいw

さて、紅葉はまだ見頃ではありませんでしたが、御土居という珍しい史跡を歩いてきました。
豊臣秀吉公が荒廃した平安京を復興させるため、京の街をぐるりと堀や土塁で囲ったというその遺構が天満宮に。以前ぶらタモリで京の街の高低差巡りしてたの思い出しました。
北野大茶の湯以外にも秀吉さん縁をみつけて嬉しい私です。

京の大仏・豊臣秀吉と京都

月与志のカルチャー夜話 第四十五夜 〜墨絵の金字塔、鳥獣人物戯画/京の大仏

こんな記事を書くほどのとよとみスキーです(´ω`)


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感想:「天上の虹」にみる持統天皇誕生の物語 at万葉文化館/初秋の花々

久しぶりの展覧会感想です。

少しずつお勉強中の万葉集と古代の歴史を学ぼうと行ってきました。
里中満智子先生の漫画「天上の虹」の複製原稿の展示が中心なのですが、その作品の背景や時代考証について専門的な説明がつくという文化館らしい展示で、古代にうとい私のような初心者には入りやすいありがたい企画でした。万葉集のお話もたっぷり。

マンガで語る古代大和U 里中満智子『 天上の虹』にみる持統天皇誕生の物語
万葉文化館
※会期終了しています


漫画で古代史というと…石ノ森章太郎先生の「日本の歴史」に描かれた持統天皇が、やり手だけどちょっと恐ろしい女性に描かれていたのですが、こちらの鸕野讃良皇女うののさららのひめみこ/後の持統天皇)は見た目に麗しく可愛い女性像なので、解釈によってずいぶん違うんだなぁという初見の印象だったのですが、読み進めて行くと、やっぱりやり手で強い意志を持った女性像でした。
その時代に生きた歴史上の人物に命を吹き込んだ濃厚なドラマに引き込まれます。

今までは事実を客観的に述べた一般的な歴史を読んでいたので、壬申の乱前後のドロドロとした政争はなんとも恐ろしく正直だめだったのですが、人々の生きた情が通う物語で読むとまるで印象が変わりました。それが一番よかったです。

作者曰く、公式の事実はゆがめない「解釈」がドラマになる。
古代の事は不明な事が多く、それをどのような根拠で解釈し想像力で補ったか、という話は興味深かった(殯宮の描写とか)
『天上の虹』は研究を重ねながら完結まで数十年かかったという作品。一度じっくり読んでみたいなぁ。
個人的には…高市皇子(たけちのみこ)が超イケテる王子さまで安心したw

まだまだ力量不足ですが、私もいつか古代の都人を主題に描いてみたいな、と思います。

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こちらは明日香村にある、天武・持統天皇陵。万葉文化館からも近い。

【文化服装学院×奈良ファッションショー2019「WA」】
今年の夏も恒例の文化服装学院×奈良ファッションショーを拝見。
こつこつイラストに描いております。

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こちらは奈良キッズコレクション。

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【初秋の花々】
残暑が終わったばかりですが、秋の花々はもう咲き始めていますね。
公園のダリアもすくすくと育っておりました。

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こちらは庭にお迎えした花々。秋の七草のひとつ、藤袴。そして紫式部(コムラサキ)いずれも日本に昔から自生している花。

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希少な藤袴…昔は河原等に多く咲いていたのだけれど今は激減している花だとか。
春日大社の「萬葉植物園」で求めました。販売用の植物をお求めなら無料で入場できるそうですよ。珍しい花々がみつかります。


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