2017年10月28日

感想:国宝展 at 京都国立博物館〜雪舟にツッコミを入れてみる

感想が遅くなりましたが、国宝展、第一期二日目に早速行ってきました。
平日の午後ぐらいからはわりとゆったり見られました(日美で紹介されたので今は分かりませんが…)

さて私の感想ですが「縄文の女神まぢビーナス!」(´ω`)につきます。
考古の縄文時代の土偶なのですが、モダンなファッションに身を包み、おしりがきゅっとあがっているキュートな女神像なのです。

縄文時代の土偶といえば、豊穣&多産を象徴するボリューミーな女性像のイメージでしたが、こんなスレンダー女子もいたのかと。
縄文人にも美乳推しの造形師がいたんだろーな、いや我々の先祖だから当然か…(´ω`)
とか妄想に耽りつつ…

縄文のビーナス3像.jpg
縄文時代のビューティー土偶モデル(想像図)

あと、書跡はよいですね。墨跡をみるとムラムラします。
自分が墨を扱うからか、墨の軌跡やにじみやらの視覚的な触感に興奮するのです(´ω`)ヘンタイですかね?

これで感想が終わると下世話すぎるので…もう少しまじめに続けましょう。

とにかく見所が多すぎ、目白押しです。ワンフロアで気力を使い果たしかねないので、自分がみたいものに一点集中をおすすめします。
というわけで、今回の私の目当てはフィギュア…ではなく「水墨画」でした。

奈良で飽きるぐらい拝見している仏像と、グロイのは駄目なので地獄絵も華麗にスルーし、
今回の目玉の一つ、通称「雪舟ルーム」へ先ずは向かいました。


■雪舟国宝六点揃い踏み部屋


雪舟といえば、屏風から虎を追い出したエピで有名なとんち小僧ですね。
…違いますね、涙で鼠を描いたら「ハロー!ぼく○ッキー。よろしくね☆ハハッ!」と動き出したという伝説のアニメーターでした。

冗談はさておき、今は昔の昭和の時代、日本で最も権威のある日本美術が水墨画で、その頂点が「画聖・雪舟」だったのだそうです。
若い?私もそんな時代のことは知りませんので、先入観を持たず雪舟に向き合ってみようと思いました。

そもそも画聖・雪舟は本当に日本画の王者なのか?
雪舟は単に運が良かっただけぢゃないのか?という話も聞きました。
実際、雪舟ルームをみて困惑する若者のつぶやきもみたり…
そこで、ものを知らないどシロートの私が皆を代表して、雪舟ルームにつっこみをいれてみたいと思います(´ω`)

※ここから画像はWikimedia CommonsのPublic domainを引用しています

■秋冬山水図(冬景図)

Shutoleft
By Sesshū Tōyō [Public domain], via Wikimedia Commons

冬枯れた山景。そこから天に向かって伸びる墨線。これは有名な、種子島のロケット打ち上げを描いた一枚ですね(参考:マカロニほうれん荘 第76話 45口径の枯れ葉!!)
うーん、よしんばロケットぢゃないとしても、これは一体を表現したのでしょ?謎です。

※雪舟作品によくある意味不明の墨跡は「水墨映え」で説明できると知りました。雪舟インスタグラマー説キタコレ!(2018年5月追記)

■破墨山水図

LandschaftSesshuToyo1481
By Sesshu Toyo [Public domain], via Wikimedia Commons

少ない筆跡で風景をさっくり表現してる、これは文句なくかっこいい!アブストラクト(抽象)ですが、自画自賛には、ほんとに自慢話が書いているらしい。
破墨とは水墨の技のひとつで、墨をほぼ触ることのない現代っ子にも分かりやすい例えで申しますと…アイスクリームにエスプレッソをかけるアフォガートです。クリームの一部が溶け、苦いコーヒーとのMixの絶妙さが美味しいですね。

■山水図 牧松周省・了庵桂悟賛

Sesshu Landscape (Okayama)
By Sesshu (1420-1506); I create the file (Landscape by Sesshu) [Public domain], via Wikimedia Commons

太くて抑揚のない線が印象的。雪舟先生、線がしんでますよ!と思ったら最晩年の作(絶筆とも)

■山水長巻

Landscapes of the Four Seasons
By Sesshū Tōyō (Mōri Museum) [Public domain], via Wikimedia Commons

美しい風景が連続する絵巻物。近景と遠景が入れ替わったり、霧で場面転換するとか、まるで映像のようなセンスですね。
雪舟先生の最高傑作と名高い逸品なのだそうですが、しかしここまで雪舟ワールドに浸ると、逆にこれはきれいにまとまり過ぎていて不満。師匠はもう荒々しい豪腕のイメージなので 笑)
中国留学中に触れた浙派(明の画派)の影響が強いそうで。そこからハードでロックな個性を開花させていったのでしょうか。

■天橋立図

Amanohasidatezu
[Public domain ], via Wikimedia Commons

きました!実にラフ極まりない一枚。細かい描写はめんどくさかったのか塗りつぶすとか…精密さなど意に介さないスタイル。
解説によると、このような鳥瞰した風景は普通見えないとか。UFOにでも乗ったのでしょうか?雪舟宇宙人説ktkr!
あるいは平賀源内のように気球に乗ったのかも(※大河ドラマのイメージです)

■慧可断臂図

Bodhidharma.and.Huike-Sesshu.Toyo
[Public domain], via Wikimedia Commons

そして最も有名なこの一枚。雪舟の真骨頂がここに。
コピックワイドできゅっきゅっきゅっっと描いちゃったような輪郭線のダルマさま。この豪腕っぷりに脱帽です。
中国画の先生には猛烈に怒られそうな、抑揚なし・渇潤無し、感情無しの「しに線」ですね。雪舟クン描き直し!

主題を考えますと「ダルマさま・弟子志願者をガン無視するの図
この方なんと自らの手を切り落としてダルマさまに弟子入りを懇願しているとか。リスカで気をひくというのとはレベルが違いますね…。
なんだかエグい話なのですが、ダルマさまといえば、壁に向かって九年の座禅を行ったことによって手足を失ってしまったという伝説の人。
慧可はそんなあなたについて行きますという覚悟を示したということなのかもしれません。背景を知れば、求道者の凄みを感じる絵です。

しかしそんなシリアスな空気を感じさせないこのマンガなタッチ
いったいどういった意図だったのでしょうか…師匠。

雪舟の生涯について知る機会も増えました。
今風に言うと雪舟は、世界最先端都市に学んだ、日本人ではたぐい稀なメジャーリーガー絵師。
そして当時、応仁の乱で都の文化が荒廃する中、雪舟は地方大名の庇護下にあったことも幸いしたとか。
もちろんそれだけではなく、日本で独自の水墨画を追求し、後世に多大な影響を与えた事が評価されているようです。

わかりやすく現代のアーティストに例えてみると…
1960年代、日本からあこがれのスインギングロンドンに飛び込んでいった若きミュージシャン。
当時流行最先端のアートロックを吸収して帰国、おサイケロック歌謡を確立して一世を風靡、あまつさえ「ロンドンにはたいした奴はいなかった、やっぱエレキの若大将は偉大だね」と発言し、サインには必ず「アビーロードスタジオ名誉会員」と入れる。
しかし直ぐにサイケは廃れ、ハードロック全盛期ではもはや過去の人だが、ビッグネームとして歌謡界に君臨しつづける、という感じでしょうか。あーよけいわかりませんね。

それにしても、もし雪舟が百歳まで生きていたら、その筆は神の域に届いたのでしょうか?
いやむしろアブストラクトを追求して、全てが○△□(まるさんかくしかく)の墨線で構成された水墨画とか描いてそうですね。二十世紀でモンドリアンにリスペクトされていたかも。

今回もむちゃくちゃ適当な事書いております、申し訳ありません。
あくまで個人の感想なので、真に受けないでください(まぁそんなやつぁいないか…)楽しんでいただけたら、そして古典美術に興味を持ってもらえたら幸いでございます。

雪舟の国宝を拝見される時は、専門書などを読み、どうぞ心してご覧ください。
現存する作品のうち六点が国宝に指定されている、日本の絵画史において別格の評価を受けるレジェンドです。

Portrait of Sesshu
By 不詳 unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

わたしは雪舟パイセンを見習って、これからは細かい事を気にせず勢いファーストで描いてみようと思いまっす(´ω`)


■中国絵画

という感じで、雪舟ルームを楽しくたっぷり堪能した後、中国絵画を拝見。
日本の国宝に指定されている中国渡来の名品達は、やはりぐっとくる美しさ。
的確で素早い筆跡で描かれる画は確かに魅力的なのです。これぞ水墨画!という感じ。
意外に人物がリアルで美しい、東洋画でおなじみのデフォルメ感がなく、まるで近代画家のスケッチのような…

一口に中国画といっても実はものすごく幅広く、奥深いものでした。西洋美術とは別次元の奥深い文化。私はまだまだ知らない世界の入り口に立っていますね。

というわけで、次は牧谿、そして等伯のぼんやりした例の松林が楽しみです。

感想:国宝展 at 京都国立博物館〜等伯×永徳・牧谿×梁楷 水墨画オールスター祭りだよ!

国宝展.jpg

ちなみに東京では狩野派の展覧会ですね。日美で狩野元信をみましたが、漢画と大和絵を融合した元祖。和様の画のスタンダードを作ったのは彼らなのかも。


■墨絵アート手ぬぐい
この記事を書いた今日からスタートです、正倉院展@奈良国立博物館
水墨画に夢中な今日この頃、墨絵アート手ぬぐいも影響をもろに受けて変わってきました。
線の表現の様々、にじみや掠れの表情で、墨一色でも、もの凄く多様な表現があることを学んでいます。

今までは単純なモノクロの墨絵でしたが、非常に微妙な表現も増えてまいりました。
洗える手ぬぐいですが、微妙な表情をキープして頂くため、できましたらそのまま手をつけず鑑賞していただければ幸いです。

こいたきのぼり.jpg

次はこちらの紹介をいたします。
京都から足を伸ばして、ぜひ奈良にもお越し下さい。
墨絵Artてぬぐい出品〜第69回正倉院展始まりました

月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:古典

2017年10月17日

墨絵Art手ぬぐい〜正倉院展2017

秋が深まって参りました。美術好きには見逃せない展覧会も目白押しですね。

さて、2017年も正倉院展期間中「手ぬぐいの朱鳥」様ブースにて、墨絵Art手ぬぐいを出品させていただきます。
第69回正倉院展奈良国立博物館にお出でになる際には、ぜひお立ち寄り下さい。

第69回正倉院展|奈良国立博物館 2017年10月28日〜11月13日

龍.jpg

鳳凰.jpg

鶏.jpg

今年は特に気合いを入れて、夏頃から準備してまいりました。
今までのものとはひと味違う仕上がりになっております。

滝に鯉.jpg

火の鳥.jpg

なお、これら新定番の柄とは別に、
四神正倉院文様などをモチーフにした正倉院展向けの絵柄も、只今制作中です。

出品先の、校倉な会「手ぬぐいの朱鳥」さまは、今年も地下回廊ブース。
葉風泰夢(ハーフタイム)さま奥の、カラフルPOPな手ぬぐいがずらりと並んでいるところでございます。

火の鳥朱鳥.jpg

餅飯殿の朱鳥本店および東向店にも引き続き定番ものがおいてございます。
あわせてお立ち寄りください。


朱鳥さま 墨絵アートてぬぐいのご案内
月与志|手描き墨絵てぬぐい

月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 墨絵Artてぬぐい

2017年10月03日

2017年秋は…正倉院展・国宝展・北斎

毎年秋は大規模な美術の展覧会が催され楽しみな季節ですね。

■奈良では「第69回 正倉院展」
キービジュアルはひつぢさん(´ω`)描けるかなぁ…
「第69回 正倉院展」2017年10月28日〜11月13日

そして今年も、墨絵手ぬぐいを朱鳥さまブースに出品いたします。
奈良、正倉院展に相応しい絵柄を構想し、只今絶賛制作中。
今年は特に力が入っておりますので、どうぞお楽しみに。

昨年の様子→第68回正倉院展始まりました/墨絵てぬぐい

02.jpg

奈良国立博物館は毎年とんでもない賑わいになるのですが、今年はお隣の京都もまた凄い事になりそうですよ。


■京都の国宝展で水墨画の名品を

この記事を書いてる時点で始まっていますが、10月3日から全四期に分けて200点の国宝が集結する展覧会が始まっています。
京都国立博物館 特別展覧会「国宝」

最近の月与志が最も関心が深い「水墨画
その日本における流れ〜影響をうけた中国絵画と室町将軍家の東山御物の展示。
中世絵画では、雪舟・長谷川等伯・狩野永徳など和様化する水墨画の流れ。
画聖と名高い雪舟の数少ない真筆、国宝六件が展示されるという人呼んで「雪舟揃い踏みルーム」は刮目必至。

とりわけ最も楽しみにしているのが、牧谿(もっけい)の「観音猿鶴図
室町期に南宋より伝わり、以後多くの絵師に多大な影響を与えたという、日本の絵画のまさに原点的な一枚だそうです。
※特にこの猿図は、等伯、雪村、式部輝忠など多くのフォロワーを生んだということで、人呼んでおさるフレンズ(´ω`)とも

私はまだ図録で見ただけですが、あまりの神業っぷりに震えました。
ふんわりやわらかい空気感、リアルな実在感、しかしながらいわゆる写実とは明らかに違う絵。このような絵画が中国に存在したとは…(南宋は絵画黄金期だったにも関わらずその多くは失われ、牧谿の絵も日本に残るのみ、だそうです)
皆きっと牧谿のこの作品の描く世界に憧れたのでしょうねぇ、まさにその時代を代表するアンセム。
ひょっとしたらそれが出発点となって日本好みの和様が形作られていったのやも。

以前、京博で鳥獣人物戯画を生で拝見した時に感じたのですが、
墨絵の金字塔、鳥獣人物戯画を拝見してきました

図録などでみたものとは全然印象が違うんです。うさぎやかえるが本当に魂が宿っているように見えました。
印刷では再現出来ない微妙な階調、描いたかどうか分からないぐらいの気配の一筆が重要なのでは、と思います。
それが水墨画の最も肝要な、活筆、活墨、生命の喜びを描くという事に繋がるのかな、と。
そんなわけで、生で拝見できるのが非常に楽しみです。

訪問前の予習にBRUTUSを購入しました。国宝が複雑に入れ替わる全四期にいつ何がみられるのかのパーフェクトなガイドが付録。そして、春の京都博物館の「海北友松」展で素晴らしいガイドを披露してくださった橋本麻里さん(永青文庫副館長)による特集なのでとっても信頼感あります。

ところで、とんでもない絵師の「神業」は、大阪あべのハルカス美術館の北斎展にも来てますね。


■葛飾北斎のホントに凄い晩年の肉筆画

北斎というと浮世絵があまりにも有名で、世界で最も知られた日本の芸術家ですが、
こちらではその後半生、浮世絵から離れてよりディープに芸術世界を深めた北斎の世界が見られると期待してます。
大英博物館国際共同プロジェクト 北斎 ―富士を超えて―

以前、小布施の北斎館で実際に肉筆画(絵師が自筆で描いた絵)を拝見したのですが
→信州小布施 北斎館に行ってきました

いやー神の領域とはよくいったものですね。

もちろん版画の浮世絵は素晴らしい世界です。モダンを先駆けた理知的な構図は、後にヨーロッパの近代芸術に影響を与えたといいます。
※北斎のグレートウェーブからドビュッシーの交響曲「海」が生まれたり、歌川広重の浮世絵を、フランク・ロイド・ライトが崇拝していたり…凄いですねぇ。

しかし北斎晩年の肉筆画は、もうそれとは次元が違う世界を極めようとするがごとくです。

日本の中世絵画は、中国絵画の影響から出発して、上方、江戸で、公家・武家・町衆の間で独自の発展を遂げたのですが、とくに北斎が活躍したほぼ幕末頃は、西洋絵画の技法を吸収して大衆絵はさらに凄い事になっていたんだなーと。
北斎の肉筆画はその最先端だったのでしょう。こんな絵がこの世にあったのかって程の驚きですよ。

01.jpg
※すいません、こちらは小生の愚作です

この秋は、数々の神業に触れ、インスピレーションを絵筆に込めて制作に励みます。

月与志site
http://tsuyoshi-jp.com

Facebook Artist page「月与志」
http://www.facebook.com/tsuyoshi.art

tumblr
https://tsuyoshi-jp.tumblr.com/
posted by 月与志(tsuyoshi-jp) at 18:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想:古典