2017年05月30日

感想:すみだ北斎美術館

東京ヲノヴォリ編、ミュシャ展大エルミタージュ美術館展につづきまして、今回は「すみだ北斎美術館」です。

葛飾北斎は、何度も取り上げている好きな浮世絵師(アーティストと言っても差し支えない)です。かつて信州小布施で拝見した、北斎晩年の肉筆画が神業すぎて忘れられません。
信州小布施 北斎館に行ってきました

というわけで、最近(2016年11月)開館して話題の「すみだ北斎美術館」へ、この機会に立ち寄って参りました。

こちらの美術館の特長は「生まれた町の美術館」北斎オンリーだということ。
葛飾北斎は現在の東京都墨田区に生まれ、生涯のほとんどを区内で過ごしたとされているそうです。
引っ越しを繰り返した逸話がありますが、同じ町内を点々としていたんでしょうか…(´ω`)

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訪れてみると、まずおどろくのが建築外観。おう!こりゃモダンミュージアムですかい?
江戸長屋風とか和風モダン建築ではない意外性ですね。

設計は建築家の妹島和世氏(あのユニークな金沢21世紀美術館も設計したんですね)。建築を見学にくる人も多いとか。
公園や地域と一体となった建築だそうで、最上階からは東京スカイツリーもばっちり。

一歩館内に入ると、これまた予想を裏切るハイテクな展開。
暗い展示空間にタッチパネルが光り、利用者の操作で様々な情報を教えてくれます。
各国語にもしっかり対応、みればお客さんのほとんどが観光客らしい外人さん。浅草にもほど近い立地ならではの配慮ですね。

当地生まれの世界一有名な日本人画家、北斎の生涯を順に追って見る内容で、その気になればじっくり学ぶ事ができるし、さらっと流すことも可能。いわゆる大きな美術館とくらべると、展示・入場料もお手頃です。

有名な浮世絵も高精細なレプリカで揃っていますが、収集されたコレクションもありました。
嬉しい事に、北斎の絶筆といわれている肉筆画「富士越龍図」が最後にあり、じっくり目に焼き付けたものです。

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そしてふり返ると…(´ω`;)うひゃーーー

北斎先生こと画狂老人卍のアトリエを再現した人形だそうですが…リアルすぎるw
そういえば映画「北斎漫画」や「百日紅 〜Miss HOKUSAI〜」でもこんな場面ありましたね。

かつて様々な記念館や美術館で、先生の書斎やアトリエの再現コーナーを見てきましたが、いまだかつてないインパクトでした 笑)
最近はこのクオリティでリアルに動くロボットがあるので、次は動き出すのかもねー(見たいか?)

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入り口辺りにあった大迫力の一枚、幻の北斎奉納大絵馬「須佐之男命厄神退治之図」
関東大震災で焼失したものを、残された写真をもとに復元したというものでした。

時間の都合で、常設展示室のみの拝見でしたが、他に講座室と図書館、ミュージアムショップなどもあり、企画展も充実しているようです。

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北斎先生については、番組でもお話ししており、人気のアーカイブの一つです。
月与志のカルチャー夜話 第七十三夜 〜葛飾北斎/百日紅〜Miss HOKUSAI

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すぐ近くには江戸東京博物館。時間があればここもじっくり見学したいなぁ。

今回は浅草には寄らず、世界一の古書の町といわれている(そんなに凄いとは知らなかった)神田古書店街へ。
いやー濃密な空間でしたわ。この辺のお話しは「第百二十九夜〜ヲノヴォリ!トーキョー2017」にて。

ヲノヴォリ編「弥生美術館・長沢節展」に続きます。

追記:2018年1月
感想:葛飾北斎〜富士を超えてatあべのハルカス美術館

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2017年05月22日

感想:大エルミタージュ美術館展 at森アーツセンターギャラリー

春の東京"ヲノヴォリ"旅行…ぢゃなかった、美術館巡りの記事です。

今年は興味を持ってみたい、西洋絵画とヨーロッパの歴史。
というわけで、ミュシャ展のお隣「草間彌生展「わが永遠の魂」」を華麗にスルーして、
大エルミタージュ美術館展@六本木・森アーツセンターギャラリーへ。
クラーナハルーベンスといった古典の巨匠(オールドマスター)の絵画と、中世ヨーロッパの絵画の流れを観てきました。

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前回の記事→感想:ミュシャ展 at国立新美術館

大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
2017年3月18日(土)−6月18日(日)
名古屋。神戸にも巡回するそうです


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こちらはエントランスでお出迎えくださいます、エルミタージュを設立した女王様。
ロマノフ王朝最強の女帝と謳われたエカテリーナ2世の肖像だそうです。

帝政ロシアの都として栄えたサンクトペテルブルクの美しい宮殿を中心に存在するロシアの国立美術館「エルミタージュ美術館
その始まりは、エカテリーナ2世が収集したヨーロッパ絵画のコレクション。
絵画・美術品の収集は王侯貴族の道楽ではなく、国家の威信がかかっているそうです。

今回の「大エルミタージュ美術館展」でスポットが当たっているのは、オールドマスター
オールドマスターとは「16世紀ルネサンス時代のティツィアーノ、クラーナハなどから17世紀バロックのレンブラント、ルーベンス、ヴァン・ダイクなどを経て、18世紀ロココのヴァトー、ブーシェなどに至る巨匠たち(公式サイトより)だそうで、まさに古典西洋絵画!という濃密さでした。どちらかというと西洋美術""好みの、一般人にはあまり知られていない作家が中心のように思います。

公式サイトには、絵画収集の歴史や、名画の裏側に隠された想い、皇帝の嗜好などを知ることも、鑑賞の楽しみの一つといえるでしょう、とありました。
美術鑑賞も奥の深い世界ですね〜と改めて。

私はこちらは初心者ですので、例によって独断と偏見にみちた記事を展開したいとおもいます。
今回は西洋絵画をディスるところもあるので、ここから先は読まなくてもよいですよ〜。


■西洋絵画のむつこさについて

私、実の所古典的な「西洋絵画」があまり好みではありません。どうにもこうにも「むつこい」ぢゃないですか(むつこい※四国方言で味がしつこい・脂っこい)
精密な写実的表現はよいのですが、見えるありのままの現実を描き尽くそうという、西洋画家の執念深さともうしますか…。過剰すぎる描き込みが重いというか…。
絵によってはそんな視点がグロテスクでさえあります。パラノイアというか「ほとんどビョーキ」(古い)っすね。

私の好きな中世の日本絵画・東洋画の美しさは、現実そのものを描くことを目指していない…そこに大きな隔たりがありますね。
美しいものはより美しく…そうでないものはそれなりに…(これまた古い)

しかし今年は、食わず嫌いを改め「西洋絵画」にも目を向けてみようと思っています。
その初めの一歩「大エルミタージュ美術館展」にて、早速ながら西洋古典絵画はくどくて退屈だと再認識した次第です。


■ディスってばかりは何なので

少しはいいところも見つけました。
西洋古典絵画の魅力はなんといっても人物の「肌の美しさ」ではないですか?
ふくよかなマリアからぷにぷにの天使達まで、西洋人の透き通るような肌の色をとても美しく描きあげていますよね。

番組(月与志のカルチャー夜話 第129夜 〜ヲノヴォリ!トーキョー2017)では「肌フェチ」といささかきわどく表現しましたが、これらの表現が発達したのは理由があるのだろうと思います。
宗教絵画、フェチを極めると「神が降臨」する?
そして時代を下っていくと、次第に「髪」の表現が魅力的に、服装も豪華壮麗過美となり、ロココの頃にはもうファッショナブル!VOGUEですかってレベル。すっごーい!

しかし西洋絵画は何を目指してこのように発展していったのでしょうか?
日本の美術では人体へのフェティッシュなまなざしは、浮世絵以前はあまり思い浮かびません(仏像彫刻ぐらい)

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■クラーナハとヌード絵画

展覧会のメインビジュアル「リンゴの木の下の聖母子」のクラーナハですが、イタリアルネッサンスの時代、ドイツでヌード絵画を流行らせた人物だそうです(日美で見ました〜クラーナハの誘惑)
工房で貴族に人気の絵画を次々生産した、やり手の実業家の側面もあったらしい。
人気の秘密は、神話などに取材したスペクタクルな画題、サスペンスな雰囲気、妖しくも美しいヌード!ヌード!ヌード!という、まるで現代のB級娯楽作品のような…。
西洋は信仰やパトロンの為の絵画だけではなく「売るための絵画」が中世すでにあったというのがびっくりですね!(まぁ騒ぐほどでもないか…)


■近代絵画のあっさり和風な味わい

むつっこい西洋絵画も、近代以降はあっさりとした美しさに生まれ変わり、ミュシャの時に触れた「アールヌーボー」や、印象派などはとても好みです。
19世紀末の「ジャポニスム」ブームで、東洋美術のエッセンスが西洋に注入されたお陰でしょうね。
革新の時代を迎えた近代の主役・都市民に好まれた新しい「美」は、さらに抽象化・モダンに進化していきます。
王侯貴族のお宝、エルミタージュやルーブルの名品は、美術館とともに市民の共有財産となり、古典絵画として新しい価値に変化した、という流れですね。

それにしても、ソビエト連邦時代にエルミタージュは無事でよかったですね。ブルジョアジーの優雅な愉しみなど焼いてしまえーってならなかったんですかね?その辺さすがヨーロッパということでしょうか。


■ヨーロッパ諸国の歴史と絵画

展覧会では、時代・国ごとに展示分けされていたので、理解が深まりました。
イタリア、オランダ、フランドル、フランス、ドイツ… 時代ごとに勢いの盛んな国があり、そういった社会情勢とそこで生まれる絵画に深い関わりがある、ということが分かるものでした。
えーと、これから機会をみつけて勉強していきます。とりあえず今回はこんなもんでー。

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森美術館ではこんな展覧会も同時開催。大衆美術ですかね、特設会場のフィギュアもよく売れている様子でした。

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六本木ヒルズ。東京の最先端スポットの一つ、という印象でした。やっぱり凄い。

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ところで今回東京巡りで訪れた「中野ブロードウェイ」は、1970年代に東洋1のビルと言われたそうで、当時は今の六本木ヒルズのような存在だったのでしょう。
そして、40年を経た今「サブカルチャーの聖地」と呼ばれています。
六本木ヒルズは40年後どうなっていることでしょうね?

東京巡り編、次は「すみだ北斎美術館」「弥生美術館・長沢節展」に続きます。

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2017年05月10日

感想:ミュシャ展 at国立新美術館

国立新美術館で開催中、アルフォンス・ミュシャ晩年の代表作「スラヴ叙事詩」来日で大変話題になっているミュシャ展の感想レポートです。
前回の記事でも書きましたが、この展覧会はミュシャの故郷チェコとその民族の歴史を描いた壁画のような超大作全二十点の展示がメイン。
鑑賞というよりは、まるで長編映画か演劇を観たかのような不思議な体験でした。

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アルフォンス・ミュシャといえば、アールヌーヴォーを代表する優美で神秘的な作風のイラストレーションで知られていますが、晩年は重厚な絵画作品を残しており、とくに「スラヴ叙事詩」は、まずお目に掛かることはできなかった作品群。
私もいてもたってもいられず、東京は六本木の国立新美術館まで早速、体験しに行って参りました。

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実は日本には世界でも有数のミュシャコレクション(堺市のドイコレクション)があり、ミュシャのグラフィックアート作品を観る機会は多いようですが、「スラヴ叙事詩」を鑑賞できる機会はそう多くはありません(今回の日本が初の海外出展だそうです)
あと一ヶ月、まだの方はぜひ本物に触れてみましょう。私は一生の語りぐさにしますw
ミュシャ展(国立新美術館・2017年6月5日まで)

<これから鑑賞される方へアドバイス>
・激しく混雑しそうですので、チケットは事前準備で行列を回避しましょう。
・絵そのものが巨大です、双眼or単眼鏡があれば便利でしょう。
・音声ガイドが用意されています。会場で絵の内容を理解する為には必要かもしれません。

私はほぼ一日展示会場にいたのですが、「スラヴ叙事詩」の圧倒的な世界にくらくらきました。
「スラヴ叙事詩」も、ミュシャの非常に美しい感性が現れた、神秘的で劇的な絵画なのですが、それを上回るテーマの重さといいますか、描かれたスラブ民族の歴史、人々の争いの歴史、繰り返されてきた悲劇…その重さが圧倒的に迫ってくるものでした。

備え付けの図録を読んだり、映像コーナー(ミュシャの生涯を解説)を利用したりして、適度に休みながらがよいかもしれません。
また「スラヴ叙事詩」のうちの数点を撮影することが可能なコーナーもありました。
※アップした写真はこちらのコーナーのものです

ありがたいことにミュシャのアールヌーヴォ時代の代表作も同時に展示されていて、有名なグラフィックアート作品や、サラ・ベルナールのポスターなど拝見できました。
その他様々な媒体にミュシャアートが展開されていて、小さな挿絵にいたるまで非常に完成度が高かったです。
ミュシャが時代を超えて今でも人気がある理由はこれらを見ればよくわかりますね。

非常に美しい図録、定番のグッズもありましたよ。

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では、私なりのミュシャと「スラヴ叙事詩」のお話しをいたしましょう。

■大きい!
まずなんといっても大きいです。洋画でも(テンペラ・油彩だそうです)ここまで巨大な連作は稀ではないでしょうか?
最大6×8メートルもあります。現物を体験しておきたい最大の理由がこれです。
巨大なキャンヴァスに沢山の人物が一人一人リアルに描き込まれています。手前にいる人物などはほぼ実寸大。絵の前に立つと、まるで現実に風景を目の当たりにしているかのようです。

ミュシャがほぼ一人で、16年かけて20枚を描きあげたそうです(1枚のみ未完とされています)城を改装した広いアトリエで、ハシゴに登って描いたとか。
なぜこんな巨大なサイズになったのか?そこにミュシャの作家としての並々ならぬ想いがある気がいたします。

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■ミュシャが演出したステージ
リアルでありながら、巨大な人物(神を表している?)や、宙に浮かぶ人物などが登場し、やや幻想的な作品もありましたので、私は「まるで劇場の舞台を観ているようだ」と感じました。
美しいライティングで浮かびがった役者達がいきいきと語り、動き出しそうな、ドラマティックな劇伴が聞こえてきそうな、まるで美しい歴史群衆劇の一場面を観ているような体験です。
時折、絵の中の人物の強い視線に気づくときがあります。キャンヴァスに描かれたステージから一歩こちら側(鑑賞する我々)に降りて来ている感じがする人物もいました。まるでステージから演者が突然語りかけてきた時のような感じ。
ミュシャのキャリアを調べてみると、生涯を通して「演劇」と深い関わりがあったようですので、この直感はわりと自信があるのですが、いかがでしょう?
スラヴ民族の歴史という大きなストーリーを考え、ステージを演出し、チェコの村人がキャストとして市井の人々を演じた、スラヴ叙事詩とはそんな作品だったのではないでしょうか。

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■これはミュシャの絵なの?
一般的に知られているミュシャ作品の、アールヌーヴォーの優美なイメージとはかけ離れた、まるで別人のような絵画作品に驚かれる方も多いと思います。
ミュシャのアールヌーヴォー時代の作品は、30代の頃パリで制作されました。
演劇や商品の広告物や挿絵といった商業美術、グラフィックアートと呼ばれたリトグラフ作品など、現代でいうグラフィックデザインですね。
制作期間も短く、複製品なので絵画より比較的安価に流通した商品。人気=売れる事も重要でした。

一方「スラヴ叙事詩」は、ミュシャが後半生(50代以降)に一大決心して描いた油彩画。
民族の歴史を象徴的に描くという明確なテーマを自身で構想し、パトロンを見つけ、制作期間は構想含めおよそ20年。
プラハ市に寄贈する前提で制作されたので、いわゆるプライスレス
画題に歴史的事件や宗教戦争なども含まれるため、重厚な内容。

比較してみると、こういった違いがあります。
作風の違いは、単に技術の向上だけではない、絵を描く事に対するミュシャの姿勢の変化が表れてれているように思います。


■芸術家の使命
芸術の都パリでアールヌーヴォーの旗手と認められ、時の人となった30代のミュシャですが、心中は色々複雑な思いがあったのかもしれません。
青年時代のミュシャは芸術を学んでいたボヘミアン(芸術志向の放浪者)でした。貴族の後援を得てウィーンやミュンヘンで学び、パリへ出た所で援助を打ち切られ、稼ぐための商業美術の仕事をはじめました。
そんな中、パリで新しく興隆していたアールヌーヴォー様式に乗った演劇ポスターで注目を集める存在になり、成功したものの仕事に忙殺される日々。
転機は、パリ万博の仕事がきっかけで、スラブ民族の歴史を取材した事、そしてチェコの民族音楽運動の推進者・スメタナの交響曲「わが祖国」(モルダウで有名)を聞いて感銘を受けた事と伝わります。
当時、ミュシャの故郷ボヘミアを支配していた勢力が弱まり、東欧各地に民族独立の機運が高まっていました。その流れの中、芸術家として出来る事=使命をミュシャは見い出し、奮起したのではないでしょうか。
パリを離れ、故郷に帰ったミュシャ(フランスの発音)はムハ(チェコでの発音)となり、以後は祖国のための仕事に専念することになります。

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■ミュシャが描きたかったもの
今回、ミュシャに関するTV番組(展覧会後援はNHK)を拝見し、書籍も読みましたが、東欧の歴史、チェコやスラブ民族の歴史は非常に複雑で、簡単に理解出来るものではありませんでした。
「スラヴ叙事詩」は、民族の歴史をテーマに描いているので、この辺りが分からないとどうにも歯がゆいのですが、ガイドを聞いたり図録など読んでも中々難しかったです。
せめてこの巨大な絵画のもたらす経験を感じとろうとした訳ですが、これら絵画には、歴史的背景を共有できなくても伝わってくる普遍的な感動が確かにありました。
それが、100年を経た「スラヴ叙事詩」に今ある価値ではないかと思います。

歴史的な背景を調べますと「スラヴ叙事詩」は、民族の連帯と独立の為にミュシャが構想した物語で、チェコの独立やその後の政治的な状況の移り変わりの中で、その価値は時代にそぐわないものになっていったようです。
(戦後、古城に秘匿され日の目を見なかった時期が長かったのもその辺りに原因があるようです)一部の人々に批判をうけても、それでもミュシャが情熱的に最後まで描きあげたのは、それが単に政治的な思惑の産物だったからではなく、普遍的な命題を描いた「芸術」作品だったからではないでしょうか。

後半生を費やしてやり遂げる価値の在るもの、世間の評価も批判も関係なく、自身が信じた「芸術」を後世に残したい、ミュシャがそう考えて描ききった作品だと私は思います。

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いつものごとく番組でもミュシャのお話しをしました。お待たせしておりましたアーカイブをあげましたのでご覧下さい(奇しくも最終回となりました〜2017年春)

月与志のカルチャー夜話 第百三十夜(終)〜アルフォンスミュシャ・スラヴ叙事詩




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