2019年11月02日

墨絵アートてぬぐい〜四神/青龍・白虎・朱雀・玄武

お待たせしておりました、四神青龍白虎朱雀玄武をお納めいたしました。
気がつけば正倉院展が始まっております、奈良に来られた際にはぜひ現物をご覧下さいませ。

【青竜】
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【白虎】
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【朱雀】
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朱雀_01.JPG


【玄武】
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玄武_01.JPG

こちらは、キトラ古墳などに描かれていた古代の神獣のイメージで作画した連作です。
写真では伝わりにくいキラキラした質感は、ぜひ現物をご覧ください。

青竜_03.JPG

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そして、こちらは水墨オマージュ。このシリーズも人気がありますので継続しています。

【青龍】
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【白虎】
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【朱雀】
四君子より菊・竹を描き込み、今のおめでたい世相を反映しました。

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【玄武】
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水墨玄武_02.jpg

ご注文頂いた四神シリーズに春夏と取り組んでおりました。
私の中で色々葛藤も多く、時間と手間を費やしましたが、その分、今までの学びの成果を形にでき一歩進めたように思います。

花の描写が少しはましに出来るようになったかな…今年のスケッチの成果です。
書も少しずつですが、知識を学んでおります。

四神は古来より天の四方の方角(東西南北)を司る霊獣として東アジア地域で広く伝えられて来た神さまです。
奈良では、平城京の鎮護、キトラ古墳高松塚古墳の壁画などでお馴染み。
画題として何度も取り上げてきました。

私も描き始めの頃は、敲筆法(筆を叩いて偶然の描写を活かす)をむやみに多用し、これが墨絵の新しいスタイルだとやっていた時期がありましたが…実の所は、己の未熟な画力をごまかしていたに過ぎませんでした。今はそういった幼稚さから脱却し、美しい線を堅実に引けるように精進している次第です。

そう言う意味では、「龍」や「鳳凰」といった、インパクトがあって誰でもそれなりに見栄えよく描ける初心者向けの画題もそろそろ卒業しなくてはなりませんね。

自分の作品に満足しているものは成長はありません。
自分を器用だと思っている人間はほとんど無能だと思っています…とか、富野由悠季監督の辛口トークに心酔しているところでして…影響されまくりw私もより謙虚に自分を追い詰めて創作していきたいと思います。

富野由悠季の世界展@兵庫県立美術館〜拝見して盛り上がっておりますwまた記事を書こうっと。


来上がり次第随時お納めしておりますが、手描きですので数に限りがございます、予めご了承ください。

最新作はSNSにて随時お伝えしております。

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墨絵アートてぬぐいにつきまして、詳細は以前の記事をご覧下さい
朱鳥さま 墨絵アートてぬぐいのご案内

月与志|手描き墨絵てぬぐい


令和_赤.jpg

令和即位礼正殿の儀、まるで平安絵巻をこの目で見ているかのようでしたね。改めまして令和元年 おめでとうございます。
今年は正倉院展も特別盛り上がっておりますね。こちらの「令和」シリーズも正倉院展の朱鳥さまブースに出品しているようです。
ぜひ奈良にお出での際は、墨絵アートてぬぐいもご高覧ください。


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2019年10月21日

感想:クリムト展〜ウィーンと日本1900 at豊田市美術館/美しい黄金体験〜名古屋城

クリムト絵画の本物をこの目で観られる機会ということで、名古屋は豊田市美術館へ足を運びました。
※美しい黄金体験〜名古屋城本丸御殿障壁画は記事の最後です。

グスタフ・クリムトとは、世紀末ウィーンを代表する帝政オーストリアの画家。
最も有名な代表作「接吻」はオーストリアの国宝級の存在。ウィーンの宮殿にある美術館に、この一枚の絵を目的に世界中から人が訪れるといいます。
日本でも人気が高く、特に絵やイラストに関心の在る若い世代なら一度は通るミュシャとクリムト、ではないかと。

クリムト…アルフォンス・ミュシャと並んで不動のツートップ、そこにビアズリーギュスターヴ・モローを加えて世紀末御三家(表現が古っ)と呼びたいw
以上あくまで個人的な見解です。(絵画史の重要性は無視したあくまで人気準拠)


クリムト_月夜三姉妹.jpg

今回のイラストは「ベートーヴェンフリーズ」より

ベートーヴェンが変身した正義の味方〜空に輝くぅきらきら旋律「黄金の戦士」その行く手を阻む敵対勢力「怪物テュフォンとゴルゴン三人姉妹」
悪、不貞、淫欲などの象徴として登場する三姉妹…を、おひさしぶり月夜三姉妹にかわいく演じてもらいました。※ひょっとしたらゴルゴンの娘達ぢゃなくって蛇娘だったかも

クリムト…正直なところ、私の敬愛するアルフォンス・ミュシャほど思い入れはないのですが、同時代の人気画家の作品を見て知っておきたいと思いました。


ミュシャ後L.jpg

こちらはミュシャ晩年の代表作「スラヴ叙事詩」来日で大変話題になった2017年国立新美術館「ミュシャ展」の感想レポートです。
感想:ミュシャ展 at国立新美術館



さて、初めて訪れる豊田市美術館
日本最大規模のクリムト展といえど、見られる作品点数は少なめなので、きっと様々な補足展示で話が膨らませてあるのでしょうと期待。
まずは修業時代の古典的で神業的な油絵、これ学生さんの作品ですか??そして家族の紹介。弟と親友と共に歩んだ青春時代。妹達の存在も重要だったようです。


■ジャポニスムの影響
次に、当時ヨーロッパでブームだったという日本美術の影響を紹介する展示。
フェノロサの東洋美術史の図録には琳派も掲載されていたし、浮世絵なども。こういうもので学んでいたのかなと。
「日本の春画三十六撰 菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿」モノクロ画なのに、着物の柔らかさや派手な意匠を繊細なタッチで表現している神業レベルの美しさでした(悪いけど今回の展示で一番感動したわ)
欧州では有名な知られざる日本人画家、小原古邨の版画もありました。

とはいえクリムトのコレクションは、東洋美術全般なので、中国・朝鮮の美術工芸品なども含まれます。
浮世絵や着物など、この時代の画家達に大きな影響を与えたジャポニスム偉大なり!となんでも日本の影響と考えて悦に入るのはいかがなものかと思うのですが、
しかし実際、縦長の判型、簡略化、余白の研究、絵画中に文字を取り込む、といったクリムトや同時代の作品群を見ていると、浮世絵の構図を学習した跡が伺えます。

Klimt - Friends I (Sisters), 1907
Gustav Klimt [Public domain]
以下、Wikimedia Commonsより画像を引用

ジャポニスムなど東洋美術を吸収しつつ、ヨーロッパに無かった独自の新しい様式を確立した、というのが大事な所なのでしょう。

しかしながら、クリムトの柔らかく華美な装飾的衣装と、エロチックな画題は、前述の春画からの影響なのでは…と想像すると楽しくなる、そんな展示構成でした。

ジャポニスムについて、こちらの記事はご参考まで。
感想:葛飾北斎〜富士を超えてatあべのハルカス美術館


■クリムトの作品
さて、待望のクリムトの有名な作品を鑑賞しました。

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ユディトI
この一枚に様々なタッチや要素が共存している、描画の多彩さ巧みさに目が行きました。
伝統の写実的表現の人物と印象派風のぼやけたタッチ、装飾的に施された金も、背景とやわらかな衣服で異なる印象。
弟が制作したという金彫の額もイメージを増長する要素です。
しかし最後はやはりこの女性の恍惚の表情が強く印象に残ります。
「ファム・ファタル」(宿命の女〜男を破滅させる魔性の女)の代表的一枚。
私の周りでは、沢田研二顔…ということになってますが(´ω`)

Judith 1 (cropped)
Gustav Klimt [Public domain]

ベートーヴェンフリーズ
これを見に私は名古屋に行きました。1902年の第14回分離派(通称ベートーヴェン展)の会場の壁面を飾った大作の再現。

Beethovenfries.jpg
By グスタフ・クリムト - First uploaded to de.wikipedia by de:Benutzer:Hans Bug., パブリック・ドメイン, Link


現物は壁の漆喰と金のマチエールが印象的。クリムト独特の女性描写(今風にキャラデザと呼んでいいかも)が洗練された作品をじっくり見る事ができました。

物議を醸したウィーン大学大講堂の天井画(「哲学」「医学」「法学」)は現存しないため写真のみでしたが、ここから年月を経てクリムトキャラは完成をみたのだな、と。
おそらく後世へ与えた影響は大きいだろうね、ミュシャと同じくSFイラストの祖とでもいうような…人気があるわけだ。

その当たりの考察は、まもなく京都にも巡ってくる「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」で期待。 

後世の評価はともかく、当時は「総合芸術」を目指した時代。
絵画と、建築、工芸、さらに音楽や舞台芸術など、異分野を統合し未来の芸術を目指した「モダニズム」前夜。
そして、音楽の革命家ベートーヴェンを讃えるというテーマが、音楽の都として誇りを持つウィーンらしい。

ところでこの「ベートーヴェンフリーズ」を明るい照明下でじっくり細かい所まで鑑賞できたのはありがたい事だったのですが…正直、この作品から劇的感動はあまり感じなかった。
これは照明の問題のような気がします。
1902年のベートーヴェン展ではどのような照明で見せられていたのか…会場の雰囲気はどうだったのか、気になります。

後述しますが、美しい壁画の見せ方、金の魅せ方に関して、帰りに立ち寄った名古屋城の障壁画がとても素晴らしかったのですよ。


肖像画と風景画
クリムトの有名な「黄金の時代」以外の作品もいくつか在りました。

女性を魅力的に描く技量はピカイチだったため、ウィーン社交界で有力者の妻や娘の肖像画の依頼を沢山請け負っていたといいます。
ご依頼の肖像画作品は、流行の画風で美しく無難に描いているものと、クリムトの個性を発揮した「美しいお顔以外は容赦なくアバンギャルド」なものがあって、作品によっては本人がお気に召さず物置き行きになったものもあったらしい。ご依頼仕事って難しい。

このクリムト絶頂期は「ベートーヴェンフリーズ」の失敗から訪れたというのも皮肉なお話し。
卑猥!醜悪!退廃的!と世間的に非難ゴーゴーで、国から仕事の依頼は絶え、「分離派」からも批判の声が上がり脱退の遠因にもなった一方で、肖像画制作と個人的作品世界の追求がなされる契機にもなり、文字通りの黄金期を迎えるのだそうです。
ちなみに、クリムトのパトロンは、有名な哲学者を生んだヴィトゲンシュタイン家などの東欧系ユダヤ人富豪。
ウィーンの新しい芸術を支えたのは彼らだが、隣国ドイツでは反ユダヤ主義が広がっていた、という時代。

一方、都会を離れて休暇を過ごしていた湖畔で、クリムトは多数の風景画を描いていました。
世に知られた個性的な画風とまるで違う、素直な風景画(といいつつ抽象化などの試みはみうけられる)に、都会の絵画はあくまでお仕事モード、こちらがプライベートな心の絵画なのかな、と思ったのですが。
永遠の恋人エミーリエと過ごした湖畔ですからね。

女性好き・反道徳的な行いやライフスタイルも話題となるクリムトですが、その奔放な姿が後世の「芸術家のイメージ」をつくったのかもしれませんが、あんまりその辺興味ないっす。
あえて言うと、ミュシャとの大きな違いはそこかな、と。
ミュシャとクリムトは、ほぼ同年代で画家の王ハンス・マカルトの影響を受け、同じ時代を駆け抜けた作家。そういう意味での興味です(熱いミュシャ推し!)

因みにクリムトの元カノで作曲家グスタフ・マーラーの妻になったアルマという女性が、とんでもなく「ミューズにしてファム・ファタル」なのだそうですよ、どうでもいいですが。


女の三世代
代表作のひとつ「女の三世代」は傑作でした。黄金の画風も洗練を極めてもうただ眼福。
身近に起きた不幸から現れた「生と死」というテーマの重さを含みつつ、絵画の印象として華麗なところがクリムトらしいなと。

The Three Ages of Woman.jpg
By Gustav Klimt - https://www.flickr.com/photos/griffinlb/3360468120, Public Domain, Link



「女の三世代」で展示は終了。「接吻」はきっとウィーンが離さないのでしょう。


史上まれにみる文化の爛熟を示したという世紀末ウィーン、時代の転換期、保守的な社会に戦いを挑んだというクリムトの芸術。
技法や表現は革新的だけど、描かれたテーマはむしろ古典的な印象です。

芸術はその後、モダニストとイズムの作家達がより過激な戦いを繰り広げて、世紀末は早々に時代の彼方へ追いやられてしまう。
ある意味、ポストならぬ、アーリーモダンな作家たち。
その中で飛び抜けて人気なのは、やはりクリムトの「作家性」。描いた絵そのものの魅力なのでしょうね。

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以上「クリムト展〜ウィーンと日本1900」の感想でした。


■美しい黄金体験〜名古屋城本丸御殿障壁画

尾張名古屋は城で保つ〜意味は良く分かりませんがwせっかく名古屋まで来たからにはお城へGO。
名古屋城にはとっても美しい障壁画空間を体験することができます。
狩野探幽狩野派絵師による障壁画と天井画が現代の画工の手で完璧に再現され、ピカピカに光ってます。

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名古屋城と本丸御殿は太平洋戦争末期1945年の空襲で焼失したといいます。当時の記録写真など見ましたが、町のシンボル、貴重な文化財が焼かれたとは…どれだけの衝撃だった事でしょう。
本丸御殿は平成になって復元工事が始まり、平成30年に完成公開されました。私も二度目の訪問です。

何が素晴らしいかと言うと、築城当時のままの美が忠実に再現されていることです。
劣化しやすい金箔や緑青が美しく本来の姿で見る事ができる。狩野派の絵師がどのような美意識で色を使っていたのかは、ここから学ばなければいけません。

教科書などで学ぶ中世の古典美術はたいてい劣化した当時の美を留めない姿です。
社寺仏閣は古さにこそ味わいがある…古都に住むものとしてそれはよーく分かっています。
文化財は古ければ古いほど価値がある、江戸期より室町以前が断然価値が高い、正倉院展が開催される奈良県民はよく理解していますとも。

しかし、絵師としての価値観は、また別よね、という話です。

名古屋城の本丸御殿障壁画は、絵というより空間そのもので、江戸時代に完成された武家の建築と装飾の「美的空間」が理解できる、いわばテーマパーク。(名古屋城さんすいません)
この空間体験を得て、はじめて狩野派の障壁画の魅了が腑に落ちるのではないでしょうか。
図書館の図録より、美術館より、本物の体験が名古屋城にあり!(よいしょー)

なにより印象的なのが、金が醸し出す柔らかい美しさです。部屋を照らす灯火(もちろん代用ライト)の反射が作りだしているのだと思うのですが、これが劇的な効果を空間に与え、幽玄な雰囲気を演出しているのだと分かりました。嗚呼、陰影礼賛ニッポン。

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そこで偶然ながらもクリムト展と繋がりました。前述した「ベートーヴェンフリーズ」の物足りなさは、そういうことだと。クリムトは黄金の効果で光の扱いにどこまで意識的だったのだろう?
クリムトが東洋を旅したという話は聞きませんし、ジャポニスムに沸く当時のウイーンやパリでどこまで日本的な美に触れられたか定かではありませんが、もし、クリムトやミュシャ、世紀末の画家達が、このような本物の障壁画を目の当たりにできたなら…と想像力を豊に夢想するのも面白いですね。

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と、いうわけで、名古屋ゴールドエクスペリエンス(黄金体験)なアート旅でした。無駄ァ足にならなくてよかったよかった。
作品に金色を使い過ぎるのは下手なやり方と避けていたのですが…よい見本を目で感じてきたことですし、
墨絵アートてぬぐいも、きらきら輝くキラヤバなシリーズやってみようかな。

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墨絵アートてぬぐい〜恋ひ恋ひて☆赤染め

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2019年09月25日

感想:北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流― at京都文化博物館/初音ミク×北野天満宮

こちらは2019年初春に訪れた「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展の感想blogです。
昨日、菅原道真公をテーマに落書き(つきよみ名義のイラスト)を描いたもので…あわせて記事にしようかと。

※11/11追記:秋深まる11月の休日に、北野天満宮さま参拝してきました。初音ミク×北野天満宮も拝見。
記事を下段に追加しました。



初音ミク水墨_道真Vr.jpg

道真公、月夜に初音ミクを見る by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】

今より少し昔、京の都に、詩(うた)を志す少年がおりました。
美しく澄み渡った月が雪のように輝く夜、花の香りに誘われた少年が庭に出てみると、梅樹の下、美しい調べで歌っている少女に遭遇しました。
そのあまりの優雅さに少年は心動かされ、筆を走らせて、一遍の詩を書き上げました。

月耀如晴雪(げつようせいせつのごとく)
梅花似照星(ばいかしょうせいににたり)
可憐金鏡転(あわれむべしきんきょうてんじて)
庭上玉房馨(ていじょうにぎょくぼうのかおれるを

少年がその少女に名を訪ねると、一言「美玖」とだけ言い残して、たちまち輝く星に包まれて姿を消し、梅の花の香りだけが残りました。

その夜から少年は沢山の優れた歌を詠み、後に京の都を一世風靡する詩歌人になりました。
大人になった道真公は、あの夜の少女との出会いに感謝して、梅の木のあった場所に神社を建立しました。
それから色々あったけど後の世に学問の神さまとして崇められるようになりましたとさ。〜初音美玖天神縁起より

えーもちろんでっち上げのお話ですが(´ω`)
菅原道真公が十一歳で作られたという漢詩がステキすぎたので、引用させて頂きました。

鏡のように輝く月の夜、真っ白な冬の寒さに薫る梅の花を讃えるちょっとしたポエムだけど、漢詩など読んだ事の無い私にも分かる美しさ!
〜月の耀くは晴れたる雪の如し・梅花は照れる星に似たり
デビュー作からとは、どんだけ梅の花が好きやねんって話ですよ。

※ちなみに初音ミクとは…ゼロ年代にネットカルチャーに親しんだ世代には絶大な人気を誇るキャラクター・ボーカロイドです。


さて、展覧会の感想ですが
北野天満宮 信仰と名宝 ―天神さんの源流―|京都文化博物館公式ページ

菅原道真公の事は今まで「学問の神さま」ぐらいにしか思っていなかったのだけれど(あと、神のまにまにの人とか)
こちらの展示の冒頭で紹介されていた漢詩(前述)がもう素敵で、心掴まれました。
続いて、宮廷の舞姫を優美に官能的に讃えた歌、なにげに女子力高いwうーんイメージ変わりましたね。

平安朝きっての秀才・和魂漢才・文武両道。
昨今の空海さまのようにイケメン化ブレイクは必至ですw

そんな道真公を描いた一代ストーリー北野天神縁起絵巻の本物を拝見。
土佐光信筆以外にも色々あるんですね。テーマは同じでも時代ごとの画風が様々で見応えありました。
道真公を描いたプロフも定番だったらしい。
それと中世の仏画〜毛のような超極細の線で描かれていて驚きでした。

さて、縁起絵巻で語られるのは、学問の神さまのもう一つの顔。
宣伝ビジュアルでも使われていたあの鬼神は、恨みを抱いて亡くなった道真公の代わりに都に祟りを成しているの図ということ。
天神さまの眷属、ブラック道真。そういう読み方をするとまた違った物語になるなぁ。
(しかし今思うと…涼殿落雷の図…真っ黒な黒煙、燃えさかる炎に逃げ惑う人々…さぞ怖ろしい出来事だったことでしょう。いくら恨みとはいえ、暴力は絶対いかんですよ道真さま…)

また、北野天満宮という場所の歴史も知る事ができました。
室町時代は「連歌」の拠点。
安土桃山時代は、豊臣家との関わりが多くみられます。

なんと言っても、秀吉さん主催「北野大茶の湯」御触書の立て札がありました、本物!
北野天満宮境内にて大規模な茶会を開く、茶湯・数寄執心の者(茶の湯マニア)は身分・出自を問わず参加せよ、というあれです。
その他秀次公の御触書、秀頼公の寄進記録など。

江戸時代以降は「天神さん」「学問の神」として広く信仰されるようになり、寺子屋などでも分社が祀られたそうです。

なお、展覧会の目玉のひとつは伝説の刀「鬼切丸 別名髭切」昨今の刀剣人気で人だかりができていたような。
でもじっくり拝見したのは、海北友松の水墨画「龍」!でかい!晩年繊細な美しい水墨を描いた友松も龍を描く時はかくも荒々しい筆致かと。
海北友松(かいほう ゆうしょう)は明智光秀の重臣斎藤利三との交流で知られる武家出身の絵師。何度も言ってますが来年の大河ドラマで登場を期待。

というわけで、菅原道真公と京都の歴史文化に浸るディープなひとときでございました。


あと、これは展覧会にはなかったのですが、この時代、出雲の阿国がかぶき踊りを盛んに上演していたという話があります。

初音ミク水墨_おくにVr.jpg

初音ミク歌舞伎踊り by月詠【初音ミク × 京都 三十六画仙イラストコンテスト 参加作品】
今より少し昔、京の都では、かぶき踊りが大人気だったんだってねぇ。
派手な身なりと立ち振る舞いで「かぶき者」に扮した、我らが初音ミク姐さんが、茶屋の女将を口説く舞台さ。

茶屋のおかかに七つの想ひよ
ひとつふたつは痴話にならぁ
のこり五つは、みな恋慕ぢゃァ

北野天満宮で盛んに演じられたこの「歌舞伎踊り」が、後に形を変えて歌舞伎となり、今に伝わっているんだってねぇ。
そして21世紀の初音ミク姐さんが、歌舞伎を超える「超歌舞伎」に挑むって訳だ。面白いねぇ。
※こちらもでっちあげ偽史というやつですご注意w


さて、京都文化博物館では2019年10月から「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」が始まるそうで、ミュシャに影響を受けたグラフィックやイラストまでカバーするというのでこれは興味深い。

秋は佐竹本三十六歌仙絵にも会いたいしなぁ。
仁和寺では修復された観音堂障壁画の特別公開もあるし…。

京都文化博物館さんは、西尾維新展で結構久しぶりに訪れてちょっと印象が変わりました、京都に根ざしたサブカル方面も期待します。
感想:ぱないの!西尾維新大辞展〜京都篇 at京都府京都文化博物館

なんでも最近京都アニメーションさんの映画ポスターを展示しているそうで。支援募金箱も設置されています。
そして煉瓦作りの建築は、C.H.郵便社(ヴァイオレット・エヴァーガーデン)のモデルなんだとか。
次、京都に行くまでに見られたらいいなぁ。

※11/11追記
■北野天満宮さま参拝
恒例秋のおでかけスケッチにて、秋深まる11月の休日に、北野天満宮さまに参拝。
七五さんのこどもたちや観光客でにぎわっておりました。
またご近所には上七軒(かみひちけん)という京都最古の花街があるんですね、風情がありました。

私的には壮麗な建築物、社殿や門が印象的でした。
「国宝 社殿」桃山建築ならではの豪華絢爛アシメな建築。
そして「星欠けの三光門」夜空の北極星を門の背景に写し込んだ写真が「北野天満宮 信仰と名宝―天神さんの源流」展で印象深かったです。

三光門.jpg

原色の聖獣彫刻は色々な刺激を頂けそうです。今こんな絵を描いておりますので。 

青竜_03.JPG

墨絵アートてぬぐい〜四神/青龍・白虎・朱雀・玄武

そしてあちこちで見かける梅の意匠。
菅原道真公と梅花の由来を知っていると、清楚な美しさが際だって感じられます。

御朱印処には、三十六歌仙絵(平成に奉納された作品)。先日、京都博物館にて佐竹本三十六歌仙絵を見てきたばかりで興味深かったです。
傍らにも沢山の奉納絵画が(いずれも色あせて残念ですが)御朱印には、手描きの書の美。境内にも「天満宮」の揮毫や「文道大祖 風月本主」の書。
日本の古典美術が揃っていて目に満足。建築、書、画、さらに舞踊、芸能、花…社寺仏閣は既に総合芸術の砦ですよね。

■初音ミク×北野天満宮
私もチャレンジしたこちらのイベントも拝見してきました。
京都ニッポンフェスティバル〜初音ミク×京都三十六画仙イラストコンテスト

初音ミク」という、ゼロ年代から今も続くサブカルチャーの潮流を見てこよう、そして選ばれなかった自分の絵と、受賞作品との違いを学ぼうというわけです。
一般的にいわゆる「萌え絵」とよばれるジャンルのイラスト〜ミクを支えるファン層10〜30代の若者が好む絵はどのような傾向があるのか…。
私が見た所では…マンガ・アニメ・ゲームで培われた言語で描かれる絵、日本のイラスト=古くは小説の挿絵や映画ポスターなどの文化に育まれた世代とはまた違う、90年代以降のサブカルチャー(マンガ・アニメ・ゲーム)が培ってきた世界観を色濃く感じるものでした。
国宝をアニメートする、のキャッチコピーが表すように<かわいいキャラクターデザイン・リアルな背景・デジタルエフェクト>という特徴。

本当に色んな世代が「お絵かき」というツールで、ミクの可愛さと京都の感動と表現されていて、デジタルツールやSNSの発達という背景がありながら、凄い時代になったなぁと。
そんな中でも選抜イラストレーターさん達はそれぞれプロの技を披露しておられ、色々と勉強になりました。

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茶菓子「北野大茶湯」がうれしいw

さて、紅葉はまだ見頃ではありませんでしたが、御土居という珍しい史跡を歩いてきました。
豊臣秀吉公が荒廃した平安京を復興させるため、京の街をぐるりと堀や土塁で囲ったというその遺構が天満宮に。以前ぶらタモリで京の街の高低差巡りしてたの思い出しました。
北野大茶の湯以外にも秀吉さん縁をみつけて嬉しい私です。

京の大仏・豊臣秀吉と京都

月与志のカルチャー夜話 第四十五夜 〜墨絵の金字塔、鳥獣人物戯画/京の大仏

こんな記事を書くほどのとよとみスキーです(´ω`)


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